CHAVELA VARGAS

chavera-vargas1961チャベーラ・バルガスは1919年コスタリカ生まれ、少女期にメキシコに移りました。そこで両親は離婚してチャべーラを残して去り、子供時代には難病にかかるなど相当に苦労したようです。が、1950年代に至りアカプルコでプロのランチェーラ歌手として歌い始めます。ホロンゴを纏い男装し葉巻をくわえ、常に銃を携帯し男勝りに痛飲する女性歌手として次第に有名になり、42歳の時(1961年に)、本作でレコード・デビューしました。病が重くなり一時療養生活を余儀なくされたものの、1990年代に復活、そして去年、93歳で亡くなるまで、ランチェーラやボレーロ、あるいはメキシコ先住民のフォルクローレを独自の解釈で歌う歌手として現役を貫きました。

が、正直なところ、チャベーラ・バルガスの最高傑作は、大小ギター類伴奏のみで歌うこのファースト・アルバムでしょうね。齢を重ねるにつれて外連味とアクの強さを増していった彼女の歌ですが、本作では囁くような歌、つぶやくような歌、何か、すべてを諦めたような歌? を聞かせて、あるいは、時に昂ぶることもありますが、その昂ぶりも一瞬、張り裂けるような悲しみもまた静かな歌い口へと戻って行きます。永い愛聴に耐える盤だと思いますが、最近になってフランスでCD化されていたことを知りました。オススメします。