ABD AL-HAYY HILMI / 1857-1912, AN ANTHOLOGY


ab-al-havy 19世紀後半から20世紀初頭にかけてのアラブ文化ルネッサンス運動 “アル・ナハダ” の風潮の中で、“ターラブの王者”としてその名を馳せたアブドゥル・ハイ・ヒルミ(1857−1912)の歴史的SP録音を収めた4CD45トラック&ブックレットです!(で、ここで言う “ターラブ” とはアラブ世界における音楽的恍惚とか興奮を指す言葉、転じて音楽的行為そのものを意味することもあるようです。インド洋沿岸のスワヒリ歌謡ジャンル名の語源にもなっていますが、それとは一応ここでは無関係。)
アブドゥル・ハイは甘やかされた上流階級の子弟として育ち(という記述をネット上で多く見受けます。そーとーな遊び人?)、早くからアラブ古典歌謡に親しみ、カシーダ=古典詩の詠唱から、各種のスーフィー歌謡、あるいはマワール=口語アラビア語による詩を即興を交えて謡う大衆スタイル等の、膨大なレパートリーを習得、カイロやアレキサンドリアにおけるカフェや広場、とりわけ富裕層のサロンなどで大きな人気を掴み、前世紀の00年代においてエジプトで一番最初のレコーディング・スターとなった歌い手だということです。あるいは、一般聴衆を募る有料コンサートを初めて成功させた歌手でもあったということで、つまり、わたしたちがよく知るところのアラブ大衆歌謡のイノヴェイター、ムハンマド・アブドゥル・ワッハーブ(1907〜91)のその先輩格であるところのサイード・ダリウーシュ(1982〜1923)の、そのまた先輩格ということになるわけですね(作曲こそしなかったものの、エジプト方言口語アラビア語での歌唱が近代アラブ歌謡の第一歩だったとも考えることはできます。同時に、19世紀以前のアラブ歌謡というものの余韻が満ちあふれていることもまた嬉しい!ということもあります)。
アルコール中毒と各種薬物中毒で早くに亡くなってしまったっわけですが、そうした人格が成せる業でしょうか、19世紀的なアラブ古典音楽及びその周辺歌謡のルールというものをブチ壊すこともしばし、より一般聴衆(とはいえ上流の人たちが中心だったようですが)を恍惚とさせる、しなやかでメリスマティックな即興歌唱に秀でた歌い手だったことは、本4CDを聴いていただければ察せられるかと思います。パリジャン風の、当時としては欧風最新の装いに身をつつみ、フェズ(トルコ帽)をかぶった出で立ちは、上流の女性のみならず男性からも憧れの的だったということです。音楽により近づき一体となるためにハシシを常用していた、なんてところは、北米西海岸発のサイケデリック・ムーブメントを100年近く先取りしていました(違うか?)。
※ディスコグラフィー有りの詳しいブックレット(英語/仏語/アラビア語表記)も付いてます!蛇腹スタイルのCDポケットも素晴らしい!

Dsic 1 Odeon 1903-1910
Disc 2 Zonophone / Early Gramophone 1906-1909
Disc 3 Late Gramophone 1909-1910
Disc 4 Baidaphone 1911-1912
>試聴可!

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