またまたカランから、話題を呼びそうなアルバムが登場しました。現在6人組のグループ=バクラヴァは、北マケドニアで05年に結成され、07年にファースト・アルバムをリリースして後、本作、地元スコピエ録音12年発売のトルコ / カラン盤が、サード・アルバムとなるそうです。表題曲ともなっている “ME MANKAS MUCHO=I miss you very much” は、他ならぬ、あの”ウシュクダラ”~トルコの民謡として北米黒人歌手アーサー・キットが世界的にヒットさせ、日本でも江利チエミ・ヴァージョンで親しまれて来た曲ですが、もともとはスペインで迫害に遭いオスマン帝国の~現在のバルカンあたりに逃れたセファルディム / スペイン系ユダヤ人が伝えた歌とされています。紅一点ヴォーカルのエレーナ・クリストヴァもその子孫ということで、ウシュクダラはじめ、旧オスマン帝国の名残を継いだセファルディ~マケドニア歌謡を掘り下げ、歌い綴っている本作、と言うことになるでしょう。多く曲がウシュクダラのように親しみやすいララバイ調のメロディーを持ち、そんな旋律を辿る高音域で透明に響く哀愁漂う歌声が、カヌーン、バグラマーやチェロ、ケマン、ダフやダルブッカといった東地中海的なアンサンブルの中、静かな風に揺れるような素直なメリスマを聞かせます。オススメできます。
BAKLAVA
Elena Hristova: Vocals
Dejan Sibinovski: Def, Percussions
Cengiz Ibrahim: Kanun, Baglama
Petar Hristov: Clarinet, Saxophone, Guitarro
Dejan Teodosievski: Cello
Trajce Ristov: Darbuka, Dajre, Tapan
Vladimir Krstev: Violin