革命のリズム、解放のグルーヴ!
ジンバブウェ音楽の黄金時代を刻む決定的コンピレーション!
1970年代のジンバブウェ(当時の国名はローデシア)では、政治的緊張が高まるなか、黒人音楽シーンが新たな進化を遂げていました。ショナ人たちの伝統的な親指ピアノ《ンビーラ(Mbira)》のトランシーな響き、南アフリカのンバクァンガ、ルンバ・コンゴレーズ、アメリカのソウルやファンク、さらにはレゲエの影響が交じり合い、独自のグルーヴを生み出していたのです。そして、人々の生活の中心であったタウンシップのダンスホールでは、エネルギッシュなバンドが次々と登場し、自由と変革へのメッセージを音楽に込めるようになっていました。その流れのなかで誕生したのが「チムレンガ・ミュージック」でした。「チムレンガ(Chimurenga)」とは、独立闘争を意味するショナ語。トーマス・マプフーモは、この言葉を象徴とする革命的な音楽を創り上げ、伝統的な旋律とエレクトリックなバンド・サウンドを融合させました。彼の音楽は瞬く間に広がり、人々の精神を鼓舞する重要な文化的武器となっていきました。また、オリヴァー・ムトゥクジは、ソウルフルな歌声と心揺さぶるギター・プレイで、新たなジンバブウェ音楽の方向性を示しました。
本作は、こうした時代の熱狂を封じ込めたコンピレーション。ご存知Analog Africaが制作したこのアルバムには、1975年から1980年にかけてハラレ(旧称:ソールズベリー)のタウンシップで生まれた、アフロ・ロック/アフロ・ソウルの重要な楽曲が収録されています。収録曲には、トーマス・マプフーモ率いるAcid Bandの‘Chiiko Chinotinetsa’、オリヴァー・ムトゥクジ&ブラック・スピリッツの‘Anoshereketa’、70年代ジンバブウェを代表するザ・グリーン・アロウズの‘No Delay’など、未発表曲を含む貴重な音源が満載です。また、その頃ハラレの音楽シーンを活性化させていた新興レーベル《Teal Records》は、無名のバンドを次々と発掘し、ライヴ・コンテストやスタジオ録音を支援。その結果生まれたのが、The Baked Beans、Blacks Unlimited、New Tutenkhamen、Gypsy Caravanといったバンドたちでした。本作には、これらのバンドの曲も多数収められ、当時のダンスホールで鳴り響いていたリアルなサウンドを体感できます。
さらに、政治的抑圧のなかで音楽を通じて抵抗を続けたアーティストの記録も重要なポイントです。独立戦争が激化するなか、トーマス・マプフーモやゼクシー・マナツァは、反体制的なメッセージを含む楽曲を制作したことで逮捕・投獄されました。しかし、それらの音楽が消えることはなく、むしろ人々の結束を強める役割を果たしました。本作の収録曲には、こうした背景を持つ楽曲も含まれています。
パーカッションが弾けるリズム、サイケデリックなギター、腰を揺らすベースライン──これらが交錯するサウンドは、混沌の時代を生き抜いたミュージシャンたちのエネルギーと創造力を物語っており、ジンバブウェ音楽の黄金時代を体験することができます。
〜サプライヤーインフォより
*CD版44ページのブックレット付(English)