V.A. / MUTUALLY EXCLUSIVE MUSIC

『モジュラー・シンセによる新音樂調書』
佐藤薫(EP-4)監修による新レーベル「φonon (フォノン)」発動第四弾。貪欲騒音機械を操る4人の猛者、森田潤、Hair Stylistics (中原昌也)、DoraVideo (一楽儀光)、齋藤久師──による画期的コンピレーションCD。森田潤・責任編集! CVに挿入された1本のケーブルが生んだモジュラー・シンセからの報告書でもある。

新レーベル「φonon (フォノン)」は、EP-4の佐藤薫が80年代に立ち上げたインディー・レーベル《SKATING PEARS》のサブレーベルとして2018年2月に始動。SKATING PEARSは当初カセットテープ・メディアを中心に多彩な作品をリリースしてきたが、φononは佐藤薫のディレクションによって主にエレクトリック/ノイズ系の作品を中心にリリースする尖鋭的なレーベルだ。

2018年を締めくくる第四弾にラインナップされたCDの1枚は、21世紀の音楽調書としてのファーストアルバム『LʼARTE DEI RUMORI DI MORTE』をリリースしたばかりの森田潤が、中原昌也、一楽儀光、そして齋藤久師──3人のモジュラリストに声をかけ実現した世界に類を見ないモジュラー・シンセのコンピレーション・アルバムだ。ここ数年で大きな話題となり、世界中の大小メーカーがこぞって参入するモジュラー・シンセ市場には、千種を超えるともいわれる様々なモジュラーが流通。しかしハード先行の話題がともすれば音楽そのものに《?》を投げかける今、このアルバムがその疑問符へのメルクマールとなる。

タイトルの『Mutually Exclusive Music』は、電子楽器のプログラミング/パッチングの選択的緻密さがある意味で反音楽的に作用すること、両立し得ない取捨選択だけでなく音楽作品として相互排他的に決定するイベント/事象をシニカルに表しているのだ。その意味で、このCDは ”not mutually exclusive” な選択となるだろう。

ライナーノーツ・小林径
ジャケットデザイン・内山園壬

Jun Morita/森田潤
DJとしてワールド・ミュージック、ジャズ、エレクトリック・サウンドに幅広くコミット。同時に、モジュラー・シンセの自動演奏に即興を組み合わせたパフォーマンスでライブ活動中。2018年、ソロ作品『LʼARTE DEI RUMORI DI MORTE』発売。レア・ヴァイナル復刻のマスタリング・エンジニアとしても評価される。

Hair Stylistics (中原昌也)
ミュージシャン、映画評論家、小説家、画家。1970年生まれ、東京都出身。ノイズユニット〈暴力温泉芸者〉で高い評価を得る。小説作品で第14回三島由紀夫賞、第28回野間文芸新人賞を受賞。「点滅……」は、第135回芥川賞候補。音楽活動は Hair Stylistics として行っている。

DoraVideo (一楽儀光)
2012年にプロ・ドラマーを引退後、音響映像装置「DORAnome」を開発し活動再開。 自作楽器を駆使して圧倒的な個性と世界観を表出。世界的な評価も高く各地のロックフェスやアートフェスなどで好評を博す。現在はモジュラーシステムによるレーザー、LEDコントロールのライブ・ワークショップを展開中。

Hisashi Saito/齋藤久師
1991年『GULT DEP』でビクターエンターテインメントよりメジャーデビュー。2013年より『galcid』をプロデュースし、Detroit Undergroundより作品をリリース。カール・ハイド(アンダーワールド)、ダニエル・ミラーら世界の強豪が絶賛。坂本龍一のSKMT picksにも選曲され世界的な評価を得る。

〜メーカーインフォより
齋藤久師(Hisashi Saito)
■トラックリスト
01 – Jun Morita – Irregular are the voices I hear
02 – Jun Morita – Perire sine causa
03 – Hair Stylistics – sexy bitch mantra
04 – Hair Stylistics – BLACK magic vagina
05 – DoraVideo – Freez&SCOOPERS Tribute to King of Pops
06 – Hisashi Saito – Царь-бомба

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