アル・リルヴァ(1916-2007)、グァドループが生んだ名トロンボーン奏者、1930年代半ばにはパリに渡り、既に、1940年代にはフランスで最高のトロンボーン奏者と目されていました。40年代半ばにはビギンに専念、Cubap の応用で Wabapを生み出し、ビギン・ジャズのパイオニアともされています。50年代前半には、エディット・ピアフの伴奏者をつとめたり、ジョセフィン・ベイカーのオランピア公演の伴奏にも同行しています。長らく、La Cigale や La Boule Blanche、la Canne à Sucre といったホール・オーケストラの指揮者を歴任したそうです。つまり、ビギン・ジャズを演じる傍ら、パリの音楽シーンで、忙しく音楽家、指揮者として働いた人ということになります。
ともあれ、本CDは、そんなアル・リルヴァに捧げられたアルバム、1993年にパリで録音制作されています。リルヴァ生前の企画盤なので、リルヴァも自ら1曲歌っています。ま、ノリとしては、同郷の有名音楽家を何らかのきっかけで称えるアルバムを作ってみました、みたいな感じなんでしょうけど、そのきかっけみたいなものが、どうも、よくわかりません(すみません…)。
収録曲はほぼアル・リルヴァ作曲ナンバーで、プロデューサーであるアンリ・デブスはじめ、タニヤ・サンヴァル、クロド・フォスティン、マックス・セヴェリンといった歌い手に、ジャン・フィリップ・ファンファン(ドラムス)、ティエリー・ファンファン(ベース)、フェリス・グレン(トロンボーン)、そしてアラン・ジャンマリー(ピアノ)と、ビギン・ジャズ系のミュージシャンがバックを固めていて、リルヴァを称えるにふさわしい面子が集まったということでしょうね。
そんなミュージシャン達が奏でるジャジーかつエレガントなビギン伴奏で、タニヤ・サンヴァルが2曲歌ってくれていて、もうこの2曲だけで嬉しくなるのですが、なんと、あの、ズーク・マシーンのクロド・フォスティンの2曲が、意外や?ビギンでさえ、キュートに聞こえるんですねえ?ほか、カダンス系老舗バンド、ヴァイキングスのマックス・セヴェリン、声がシブイし、リルヴァ自身の歌声はもっとシブイ!というわけで、ビギン・ジャズ&ヴォーカル・マニアは是非!
01. Max Severin / Touloulou
02. Tanya SaintVal / Cé ou mème qui l’anmou
03. Steeve Marty / Souvenir de mon Île
04. Klod Fostin / Bonheur en moin pati
05. Henri Debs / Mi belle journée
06. Al Lirvat / Tete a mone la
07. André Condouant / Cé ou mème qui l’anmou
08. Max Severin / Bon ti rhum la
09. Tanya SaintVal / Doudou pas pleurer
10. Steev Marty / La Guadeloupéenne
11. Klod Fostin / Tou ça çé pou ou doudou
12. Henri Debs / Vini voue ma mie
13. Henri Debs / O pretty baby
14. Henri Debs & André Condouant / La Guadeloupéenne