V.A. / GULDESTE 1

2011年にリリースされていたようです。凄いですねえ、ウズン・ハワだけで42曲3CD!これは一生ものですね。1曲1曲が在る程度の長さを持った録音なので、おそらくLP時代になってからの録音、50~70年代の音源が集められているようですが、その分、音質もクリアーです。トルコの民謡=いわゆるハルクは2つの傾向に分けることができるとされていますが、その一つが“クルク・ハウ”~主に弦楽器サズの弾き語りで、2拍子 / 4拍子 / 8拍子 / 9拍子といった 、拍子のある短律を繰り返し狭い音域の中で合唱も交えて歌うもので、バルカンやギリシャ歌謡とも共通する歌謡ですね。そしてもう一つが“ウズン・ハワ”、拍子にとらわれず、無拍子も多く、自由なリズムで独唱されるもの。長く引き伸ばされた発声においてメリスマを多用しながら、高音から低音まで広い音域を持つ歌のことで、これは遊牧生活の名残を残す歌ともされています。モンゴルや日本の民謡にもつながる感覚を持っています。そのウズン・ハワの名歌手を集めたのが本3CDとなるわけですが、ミュケレム・ケメルタシュ、ネリマン・テュフェッチェ、アリ・エクバル・チチェッキ、ヌリ・セシギュゼルなど名歌手がごそっと並んでいます(ヌリはとうようさんのオーディブックCDメリスマータにも収録されていた歌手ですね!)。もちろん男性ばかりでなく女性歌手も並んでいます。歴史を遡れば、中央アジアにルーツを持つテュルク~トルコ人のこと、モンゴルの民謡に似ていても当然ですし、そのモンゴルを起点に、日本の馬子唄や追分に似ていても、不思議はないわけです。遙か西へと続くコブシロード探訪には欠かせない3CDかと思います!

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