本作はイラン西部のザーグロス山脈に近いロレスターン州とその他の地域のダンス音楽集です。
通常、この地方のダンス音楽はインストゥルメンタルが多いのですが、本作にはボーカルの入る曲も収録されています。楽器は屋外で演奏されることも多いソルナ(sornā:伝統的なオーボエ状木管楽器というよりチャルメラ)とDohol(両面の大型円筒ドラム)、ケマンチェ(弓を使う擦絃楽器)やトンバク(足つき酒杯形ドラム)が使用されます。
古典的なマカームを用いるzang zangのようなタイプとそこから派生した新しいタイプの曲があり、祝い事の演奏にはケマンチェとトンバクが必ず使用されます。
婚礼の楽しいダンスの後の宴では、古典詩(KhosrowやShirinのような)が朗読されます。歌い手は花嫁が婚家に馴染むようにその心構えなどが歌われている優しい歌を歌います。
一方、勇敢な戦士や人望があった者などが亡くなった際にもダンスが踊られます。輪になり肩を下げて顔と胸を叩きながら踊り、歌手は悲しみと嘆きを歌います。
本作ではそれらの冠婚葬祭のダンス曲を聞くことが出来ます。
繰り返しが次第に気持ちよくトランスへと誘ってくれるそんな音楽です。
演奏するミュージシャンは、ベテラン揃いです。ソルナ奏者のShāmirzā Morādi(1935-1998)は「太平洋の真珠」と呼ばれるロレスターン州の都市ドルードに生まれの国宝のような音楽家です。ボーカルのAhmad-Ali Rezāyiは、古典の基礎から学び幅広い歌唱法を身につけた実力者です。ケマンチェ奏者のSeyd-Mirzā Aziziはロレスターンでよく知られた演奏家です。トンバク(zarb)奏者のMehammad Bonyādiyānは、著名なトンバク奏者Shāh-Hasanの息子であり、祖父も偉大な音楽でした。伝統奏法を得意としています。Dohol奏者のRezā MorādiはShāmirzā Morādiの息子です。 (サプライヤーインフォより)
メンバー:
Sorna: Shamirza Moradi
Kamanche: Seyd Mirza Azizi
Vocals: Ahmad Ali Rezayi
Collected & Researched by Mansureh Sabetzadeh