V.A. キューバン・ジャム・セッション
〜アンダー・ザ・ディレクション・オブ・フリオ・グティエーレス Vol.1&2
●1956年、キューバはハバナの有名なパナルトのスタジオ(あのブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの録音で使われ、映 画でも録音シーンで登場したあのスタジオです)に、名うてのミュージシャンたちが集まり、セッションを行いました。メンバーは、当時U.S.A.などからの観光やカジノで煌びやかな夜の世界を創り上げていたハバナのナイト・クラブやキャバレー、バーなどで引っ張りだこだったミュージシャンたちばかり。彼らは、夜の仕事の後に気心が知れた仲間が集まり、毎夜のようにセッションを繰り広げ、日頃の仕事の演奏では発揮できないアイデアを出し合い、日頃の憂さをはらしていました。
●そんなミュージシャンシップ溢れるセッションを、録音してしまおうとスタジオに集まったのです。腕利きのミュージシャンを束ねるのは、当時キューバ音楽にモダーンな感覚を持ち込み、アップテンポな音楽からフィーリンに至るまで、アレンジを振るっていたピアニストでもあるフリオ・ グティエーレス。さらに同じくピアノで参加した名手ペルチンも何曲かでデレクションを担当。2人を中心に、フル・ブラスにフルート、ベースに各種ラテン・ パーカッション、曲によってコロ(コーラス)や簡単なヴォーカルも付き、ワイワイガヤガヤ演奏しています。そして、なんとフィーリンの2大巨匠の1人ホ セ・アントニオ・メンデスが、エレキ・ギターで参加!フィーリン一派とアフロ・キューバン系のミュージシャンとの関係も垣間見られ興味深いところです。
● どの曲も簡単なリズムやテーマとなるメロディを決め、そこからどんどん展開していくという、スリリングなもの。ポリリズムのグルーヴ感が最高に気持ちいい ですが、しかし、キューバ特有な優雅さや余裕も随所に見せ、女性を中心としたコロが入る曲などキャッチーでまさに自由な雰囲気にみなぎっています。また、 曲によってはほぼパーカッション・アンサンブルだけのものなどもあり、アフロ・キューバン的な高揚感もタップリ。
●1940年代にU.S.A.の ジャズのミュージシャンたちが、同じように仕事の後のセッション=アフター・アワーズ・セッションの中からビバップを誕生させたように、キューバでのこの ようなジャム・セッションから、マンボが誕生しました(マンボの誕生には諸説ありますが、このジャム・セッション説も最有力な説)。
●また、この アルバムの成功により、当時多くの名デスカルガ(ラテン、特にアフロ・キューバンを中心にしたジャム・セッション)・アルバムが発売され、その後現代に至 るまで、デスカルガ・スタイルのアルバム制作やコンサートは地域を越えてラテン・アメリカ文化圏全域で今でも盛んです。サルサの誕生も、頻繁なデスカル ガ・セッションの末に音楽的なベースが形作られたということはファンの間ではよく知られたことです。
●まさに、“ルーツ・オブ・デスカルガ”&“ルーツ・オブ・マンボ”な名盤『Cuban Jam Session(キューバン・ジャム・セッション)』の第1集と第2集の全曲をパッケージしたのが本製品です。
●なお復刻にともない、アナログ音質の良さを生かしたマスタリングを施し、紙ジャケにパッケージングしました。
(以上、メーカーインフォより)
*個人的にはコレまで一番多くの回数聴いて来たキューバ盤LP2枚かと思います。かけっぱなしにしていてコレほど気持ちイイ作は後にも先にも、と思ったりもします。で、REPLAY するならCDの方が断然便利なのですが、今までにリリースされた幾多の “CUBAN JAM SESSION 1&2” の中では、この盤が一番アナログっぽいグルーヴ感が楽しめる音(アナログ起こし?)ですね。キューバン・グルーヴがしなやかに伝わって来ます。買い換えをお考えの方にもオススメします。
*ジャケは確か、US輸出向けにパナルトが作った最初のプレスのジャケです。キューバ流通盤のオリジナル・プレスは、例の有名な黄色と青のジャケだと思います…たぶん。にしても、この赤写真盤ジャケ、実にレアーです。当時の北米ジャズを意識したようなジャケでしょうか。
*1956年のある夏の夜(って、ハバナは常夏ですが)、一晩中、飲み食いタダという誘いに乗って、パーティー感覚で集まったミュージシャンたち、そして歌い手&ダンサー達の自由なセッションを、夜通し回しっぱなしのテープで録った中から厳選された11曲(〜という噂が本当なら、まだ残りのテープはあるのか?発掘なんて奇跡があるのか?と考え出すと眠れませんねえ…)、〜そんなハバナのパナルト・スタジオに流れた最高の空気、そのパーティー&ジャム感覚を、NOストレスで楽しめるCDとなりました。もちろん、これからキューバを聞こうという方にも1950年代あたりに熟していたインストゥルメンタルによるキューバ的リズム感覚&アドリブ感覚の基本と言ってもイイ本CD、強くオススメできます。
1-7 : Volume 1 / 8-11 : Volume 2
1. INTRODUCTION 0:29
2. THEME ON PERFIDIA 8:28
3. THEME ON MAMBO 3:29
4. CIMARRON 6:35
5. THEME ON CHA CHA CHA 4:47
6. OPUS FOR DANCING 10:20
7. THEME FOR CONGA 0:43
8. DESCARGA CALIENTE 16:45
9. RHUMBA THEME 5:06
10. OYE MI RITMO CALIENTE 6:31
11. BATA RHYTHM 5:53
Piano: Julio Gutierra and Pedro (Peruchin) Justiz
Trompeta: Alejandro (El Negro) Vivar
Alto Sax: Edilberto Scrich
Baritono: Osvaldo (Mosquifin) Urrutia
Tenor: Emilio Pe alver and Jose (Chombo) Silva
Flauta: Juan Pablo Miranda
Bajo: Salvador Vivar
Timbales: Jesus (Chuchu) Ezquijarrosa
Bongo: Oscar Valdes
Tumadora: Marcelino Valdes
Drums: Walfredo de los Reyes Jr.
Guitarra: Jose Antonio Mendez
Scat Vocal: El Gran Fellove
& unknown female singers