☆T.R.マハリンガム『ポートレイト・オブ・ア・プロディジー:ヒズ・アーリー・イヤーズ、1940s-50s』
エムと京都メディテーションズのコラボ・リリース第二弾
インドの魔法の笛吹き、T.R.マハリンガムの続編で、ほとんど誰も聴いたことのない1940年代~50年代のSP盤音源集。カルナーティック音楽ファンのみならず音楽探究リスナー待望の「超」の付く貴重音源だが内容も尋常ではない!
この音源集、「His Early Years」と謳っているため絶頂期を迎える前のものと思われそうだが、これが大間違い。これこそまぎれもなくマリの創作ピーク時に吹き込まれた演奏なのだ。この魔法の笛吹きは7歳で初舞台に立ち、幼くしてプロの演奏家となった南インドの伝説の神童であり、数々の革新・改革を通じて横笛音楽そのものを変え、インドにおけるフルートの音楽上の地位を引き上げた。また、自分の基準に満たないといって吹き込んだ録音の破棄を命じるような音楽家であった。
マリは1950年代後半からおよそ10年あまり表舞台から消え、その後も引き蘢りを繰り返し、生涯を通じた奇癖もからまって(これら事象は解説を参照)、後年では録音はもとよりも公演すら稀になった。彼が望めばラヴィ・シャンカールのように成功したかもしれないのだが。したがって、怪しげなライブ録音ではない正式なレコード発表用の録音は千金の価値がある。しかもこの音源集、自らが意欲的で、バイオリンのT. チャウディアやムリダンガムのパルガット・マニ・アイヤーといった最高の伴奏者にも恵まれた時代のものなのだ。以後の演奏はこの時代に確立したものの延長にあると言ってよく、歿後に多くのライブ音源がリリースされているのも、生前の極端な録音・公演回数の少なさによる。皆マリを聴きたいのだ。
弱点?をいえば、SP盤ゆえ収録分数に制限があり、ラーガ特有の長大な演奏が難しかった点にある。しかし物は考えよう。制限を逆手に取ったような手頃なフォーク・ソングとラーガを演奏しており、そこに込めた潔さには長い演奏では得られない美意識と滋味がある。
これだけの大音楽家にも関わらずそのバイオはインドの外で殆ど知られていない。おかげで余計に彼の像が歪曲されてしまっている感があるが、今回はこのミステリアスな彼の生涯と音楽の核心について言及した解説を掲載(本邦初?)。
ジャケット画はインド在住の画家、Jyoti Naoki Eri氏に特注した逸品。南インド/カルナーティックの世界観が溢れる霊的作品!〜エム・レコードより
*解説
*日本語/英語両掲載。
*特製紙ジャケット
TRACKS:
1. Ninuvina pt. 1
2. Ninuvina pt. 2
3. Evarani
4. Mahudi
5. Enthara pt. 1
6. Enthara pt. 2
7. Paramaathmudu pt. 1
8. Paramaathmudu pt. 2
9. Suki Evaro pt. 1
10. Suki Evaro pt. 2
11. Sarasija Nabha
〜以上、メーカーインフォより