こちら>2012年の初ソロ・アルバムはもとより、>ジャズ・トリオとのビル・エヴァンス作品集や、>コントラバス奏者とのフィーリン系ボレーロ&カンシオーン・アルバムや、>イスラエルのハングドラム奏者との共演、>そして女性ばかりのフラメンコ・ユニットなど、旺盛なレコーディング活動を続けて来たバルセロナの女性歌手、シルビア・ペレス・クルース(1983年カタルーニャはパラフルジェル生まれ)の新作がリリースされました。で、この新作、12年の初ソロ・アルバムで共同プロデュースをつとめたギタリスト、ラウル・フェルナンデス・ミロ(1976年バルセロナ生まれ)との共演作ということになっています。
そのラウル・フェルナンデスという人、もとはパンクロッカーだったそう?が、その後、ジャズやヒップホップ、フォーキーPOPからエクスペリメンタル・ミュージックまで、何でもありのプロデューサーをこなしつつ、並行して、REFREE なるソロ・プロジェクトで様々なジャンルの音楽家と共演しながら6枚のアルバムを残している才人。ま、その音楽性は抒情と音響、インプロとPOPとPUNKが入り交じったような感じ?ま、一筋縄ではないことは確かです。で、そもシルビアとの出会いは06年にバルセロナ在アルゼンチンからの移住組音楽家たちと南米をツアー中に共演をした時だったそうで、その際、お互いにまったく理解しかねる遠い音楽性だったこと、だったそう。既に廃盤ですが06年リリースの “IMMIGRASONS” に両者参加(このアルバム、聴いてみたいですねえ…)。ま、とりあえず、意気投合どころか、よくわかりませ〜ん状態が新鮮だった、ということですね。そんな関係において、シルビアは自らのソロ作の共同プロデューサーにラウル・フェルナンデスを指名したということになります。なるほどねえ、よくわかりませんねえ…。
が、あの、シルビアの12年作 “11 de novembre” の魅力は、もちろんシルビアの細やかで伸びやかな歌声にあったわけですが、思えば、馴れ合いとか予定調和とか、平明なPOPさというものがあまり感じられない、なかなか綱渡りっぽい?緊張感ある抒情とでも言えそうなアンビバレンスな風合いを感じさせもしてくれたわけで、その辺、何となく納得ということになるでしょうか。で、この共演作、一応、カタルーニャ往年のフォーク&POPソングブックという体裁で、Lluís Llach, Maria del Mar Bonet , Albert Pla, Enrique Morente 等々のカタラン・スタンダードをカヴァーしながらも、ガルシア・ロルカやレナード・コーエンの詩を歌い、エディット・ピアフやホーギー・カーマイケルの有名曲を生まれ変わらせたり、あるいはノボス・バイアーノス “Acabou Chorare”, フィト・パエス “Carabelas Nada” なんかも軽妙に歌いつつ、相変わらず、というか、よりいっそう?どこか音数少ない中に不協和音を残しつつも、ほかでは得難い静謐な抒情を可憐に聞かせてくれるわけです。これも、互いの異質さの昇華の結果?
<SILVIA PEREZ CRUZ , RAUL FERNANDEZ MIRO
/ Corrandes D’exili – Gallo Rojo
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<ラウル・フェルナンデス・ミオのユニット
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