なんだか、ジャケを見ていて懐かしいような気分になったのは、藤の椅子に足を組んで腰掛けている姿が、エマニュエル夫人に見えたからかも知れませんね(って、通じない? いやいや、そんなことないでしょ、当店高齢化顧客の皆様におきましては…?)。
それはともかく、こちらはアテネの北300キロと少し、港町のヴォロス出身、アテネ大学で考古学を学んだという今年30歳になる女性歌手、レナ・モルフィのソロ・デビューCDです。このレナ嬢、トルコ料理 >“イマーム・バユルドゥ(坊さん失神の意)” をバンド名に冠したグリーク・ミクスチュアー・ユニット9人組の紅一点として5年前から歌い出し、既に知られた美人歌手ということに(今秋、イマーム・バユルドゥは2枚組ライヴCDをリリース〜当店未入荷、リクエストあらば入れましょうね)。
本作で歌うは、前世紀半ばに小アジア(アナトリア、ひいてはスミルナ)から帰還したギリシャ人の間で興ったという “ライコ・パルコ”(ことに北米へ渡った移民の間で盛んだったそう…>こちら参照)という混淆歌謡音楽スタイルにヒントを得た、懐古調歌謡(オリジナル&カヴァー)ということです。
で、この人、ジョニ・ミッチェルに影響を受けたと公言しているだけにその歌声、ギリシャ歌謡一般のオーソドックスさには欠いていますが、こうした古き良き歌謡音楽調を歌うことにおいて、下地なく癖もなく、演歌的しがらみ(?)もなく、かえってどうして新鮮だなあ、と感じた次第。なんと言っても耳を引くのは今時なかなか聞けないエレキ・ブズーキの音色、そこにラテン風のリズムも加わった軽快かつシンプルな演奏(サンバ風やクンビア風もあり)をバックに、涼し気な歌声で、新鮮な哀感を伝えてくれるわけですね。オススメできますよ!