PHUONG LOAN / NY CUOI ANH CON MAI…

フォン・ローン、1959年ベトナムはサイゴン生まれ、70年代後半から歌いだし、80年代には “チー・タイズ・ブラザーズ” のリードシンガーとして海外でも活躍、多くは北米で公演し、チー・タイズ・ブラザーズが北米を拠点に活動するに及んで、フォン・ローンも移住。チー・タイズ・ブラザーズのリーダー、その後、フォン・ローンの夫君となったチー・タイが作曲家として関わっていた北米越僑社会での最大の人気TVショウ “Paris by Night” に出演し、人気を得たそうです。その後、スタジオ経営や作曲家として活躍してたチー・タイが、ベトナム本国で俳優業に転じることになり、妻としてフォン・ローンは歌手活動を停止、米国にとどまり家庭を守ることに専念していたそう。
本作は、ベトナムと米国を行き来して活躍していた夫君チー・タイが2020年に突然亡くなり、その後2年の間をおいて、フォン・ローンがリリースした(おそらくファースト)アルバムだそうです。
というわけで、63歳にして、改めて歌手復帰を果たしたフォン・ローンのベトナミーズ・バラード・アルバム、さすがに若々しさ、瑞々しさを望むことはできないし、多くは沈んだ調子の曲が並並んで、亡き夫、チー・タイへの哀惜の想いが低く通底音として聞こえるアルバムでしょうか。でも、深みあるアルトの歌い出しから中高音域へ伸びる南ベトナムらしい節まわしには、なかなか、シミて来るものがあります。

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