★オルケストル・マキ・デュ・ザイール&オルケストル・サファリ・サウンド/ザンジバラ11 ~ コンゴ・イン・ダル、ダンス・ノー・スウェット 1982-1986
80年代のダル・エス・サラームに花開いたコンゴ系ダンス・ミュージック!
フランスの人気レーベル“Buda Musique”が、《エチオピーク》と並行してリリースしてきた人気シリーズが《ザンジバラ》。主に東アフリカのスワヒリ文化圏一帯で人気を博してきた大衆歌謡のジャンルであるターラブを紹介してきた同シリーズですが、今回第11弾としてリリースされたのは、そのターラブから一旦離れ、タンザニアの中心都市ダル・エス・サラーム(通称ダル)で80年代に人気を博したムジキ・ワ・ダンシ(Muziki wa Dansi)と呼ばれるダンス・ミュージックにスポットを当てた内容となりました。
本作の舞台となった1980年代初頭のダル・エス・サラームは人口が100万人に届かず、政治的/経済的な困難に直面していました。その頃のタンザニアといえば、ウジャマー政策や東アフリカ共同体の崩壊、ケニアとの国境封鎖、イディ・アミン(元ウガンダの大統領)との戦争の影響によって国として後退し商業活動も停滞、多くの店から品物が無くなり交通機関も麻痺していました。その一方でダル・エス・サラームのナイトライフは活気に満ちていて、プロのバンドがナイトクラブで演奏し、ムジキ・ワ・ダンシ(=都会的ダンス・ミュージック)のシーンが盛り上がっていました。多くのバンドは国や準国営機関から支援を受け、コンゴからやってきたミュージシャンも加わって音楽的な充実を図っていました。ただレコード業界はまだまだ発展途上だったため主な宣伝手段はラジオ放送。レコードの売上ではなくナイトクラブでの演奏こそが彼らの主な収入源でした。
本作にはオルケストル・マキ・デュ・ザイールとオルケストル・サファリ・サウンドというふたつのグループが1982年から86年の間に残した音源を収録しています。この2バンドが共通していたのは、創始メンバーがタンザニアの西隣の大国コンゴ民主共和国(1971-97までの国名はザイール)の出身で、同国で生まれ当時アフリカ中を熱狂させていたルンバ・コンゴレーズの要素をふんだんに盛り込んだムジキ・ワ・ダンシを演奏していたという点です。ルンバ・コンゴレーズは別名リンガラ音楽と呼ばれていたように本来はコンゴの言語リンガラ語で歌われる音楽ですが、ここでは聴衆たちの要求に応える形でスワヒリ語の歌詞(高度な詩的世界を持っていたターラブからの影響が少なからずあったようです)で歌うようになりました。
サウンド的にはクリーンなエレキギターを中心に、ベースやドラムズ/ラテン・パーカッション、ブラス・セクションを加えたルンバ・コンゴレーズ風の演奏をバックに、複数のヴォーカリストが常にハーモニーを伴った歌を聴かせるというスタイル。その円やかなアンサンブルは、フランコやロシュローが活躍した70年代のルンバ・コンゴレーズ黄金期を彷彿とさせます。もちろん本作には他のザンジバラ・シリーズ同様に充実したブックレットが付録されていて、詳細なライナーノーツと貴重写真が収録されています。
80年代のダル・エス・サラームに花開いた豊かなダンス・サウンドが楽しめる本作。是非注目してください。
〜以上メーカー・インフォより
●日本語解説/帯付き
1. Seya
2. Dunia Msongamano
3. Double Double
4. Mwanakwetu
5. Karubandika
6. Burhani Mlanzi
7. Marashi ya Pemba
8. Nasononeka
9. Garba
10. Maria Nyerere