NANWAN SISTERS 南王姊妹花 / 巴力瓦格斯 BALIWAKES

*いきなりですが、以下、以前このアルバムの収録曲を、とあるラジオのコーナーで紹介した時の元原稿を(自分が書いたものなので)、勝手に転載させていただきます。

「それでは、お聴きいただきます。
アーティストは、Nanwan Sisters ナンワン・シスターズ
曲名は、Kaiku La aLi-aLiya カイク・ラ・アリアリヤ〜

「こちら綺麗な曲でした。
流麗なオーケストレーションを伴奏に、女性の可愛らしいユニゾン・コーラスがしみじみとしたいい曲でした。
この伴奏は、台湾国立交響楽団によるものだそうです。
民謡風の静かな歌に、交響楽団の演奏を持ってくるなんて、なかなか大胆な試みかも知れませんね。
歌っているナンワン・シスターズは人口1万人に満たないプユマ族の女性3人のヴォーカル・トリオです。
残念ながら、プユマ族の言葉、プユマ語を話す若い世代は年々少なくなっているそうですが、そんなプユマ語を、そしてプユマの歌を慈しむように歌っている3人の女性かと思います。
2011年の録音になるそうですが、ナンワン・シスターズ、子育て中の主婦二人(スーパーのレジ係含む)と、5つ星ホテルの従業員の三人がメンバーです。
つまり、プロの歌手ではないのですが、そのプユマ族の言葉の優しい響がたどる、ちょっと懐かしいようなメローディーは一度聞いたら忘れられませんね。
ところで、歌の中に “さよなら、さよなら” という歌詞も聞こえていたのにお気づきでしょうか?
日本による統治が50年間続いた台湾では、日本語が今もいろいろなところに残って、現地の言葉に溶け込んでいるそうですが、この歌では中国語の さよなら、“ツァイツェン” と 日本語の “さよなら” に加え、プユマ語のさよなら、 ”カイク” という言葉も歌い込まれていました。
タイトルの “カイク・ラ・アリアリヤ” は、“皆さん、さようなら” という意味になります。
この曲、プユマ音楽の父とされるバリワケスことルー・センバオ(陸 森宝/ 日本統治下の名前は森寳一郎)が1961年頃に残した有名曲とのことです。
歌の内容は、結婚が決まり家を離れて遠くに行く若い女性が、親や兄弟姉妹、そして友人達も集った満月の夜、みなさん、さようなら、と、別れを告げる歌。
プユマの人々の人生の一コマが、目に見えてくるような曲じゃないでしょうか?
是非これからも、歌い継がれて欲しい綺麗な曲でした。」

>★ というわけで、以前はチャーロウ・バシワリの友人であらせられる関屋元子姐さんに買い付けていただきましたが、今回は角頭音樂にコネクションのあるオキヨシさんに買い付けていただきました、感謝!〜上記でご紹介した曲が収録されている CDがこちらです(10インチLPサイズのジャケに CDが封入されているという、ちょっと邪魔っけな CDです…?郵送では送りにくいので佐川宅急便/送料¥500となってしまうことお許しを)。台湾の原住民(台湾に先住していた少数民族の人々は、”先住民”という呼び方を嫌うそうです。中国語で先住民と言うと、先に住んでいた人々、今は住んでいない、というか滅びてしまった人々、という意味になってしまうとか)によるレーベル、角頭音樂より2011年にリリースされた作です。台本原稿文中でも触れましたが、プユマの人々に今日でも親しまれている作曲家、故バリワケス(巴力瓦格斯)作品集となります。

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