ナディ・カマルは1917年生まれで、かつてチャールズ・ミンガスらと共演を果たしたアメリカ人ジャズピアニスト、スポールディング・ギブンズの別名義。ジャズを通じてアフリカ音楽に出会った彼は、親指ピアノなどアフリカの楽器を研究し、Smithsonian Folkwaysに幾つかのレコードを残しています。その中で白眉なのが、この親指ピアノならぬ、全指ピアノ「ママ・リケンビ」のソロ演奏を収めた1975年のアルバム「The Nuru Taa African Musical Idiom」です。
ママ・リケンビはアメリカ製の建て付けの良い中型のThumb Piano(サワリなし)を元に、親指だけでなく、両手の全ての指で演奏出来るように改良した楽器とのこと。
インドネシアのカチャピやエチオピアのハープ、もしくはエリック・サティのピアノ曲のように淡くはかない響きです。