MAXINE SULLIVAN / A TRIBUTE TO ANY RAZAF

トランペット、チャーリー・シィヴァーズ、クラリネット、バスター・ベイリー、ピアノ、ディック・ハイマン、そしてベースにミルト・ヒントン、ドラムスはオーシー・ジョンソンという、マキシン・サリヴァンにとって、望みうる限り最高の布陣を得た1956年の8月吹き込みで、作曲家ファッツ・ウォーラーとのコンビ1920〜30年代にジャズ・スタンダードを生み出した作詞家、アニー・ラザフの曲を歌い綴ったアルバムです。
アニー・ラザフは “Ain’t Misbehavin’(浮気はやめて)”〜“Black and Blue”〜 “Stompin’ at the Savoy (サヴォイでストンプ)”等、戦前ジャズ・スタンダードを数多く生み出した女流作詞家ですが、本名はアンドリアマナンテナ・ラザフィケリー、仏のマダガスカル侵攻を逃れて北米へ渡ったマダガスカル王族の末裔となる女性だったそうです。
そして、マキシン・サリヴァンといえば小唄調(と、言ったのは色川武大だったか?)、感情表現を抑えヴィブラートは最小限、軽やかに歌うそのフラットな歌唱スタイルは、30年代以降の主流、エラ・フィッツジェラルドや、そしてビリー・ホリデイといった両極における北米ブラック的なエモーショナルな歌い口とは明らかに異なる情緒表現において、涼やかで軽味のあるスタイルを聞かせます(そんな歌い口の先達を探してみるなら、エセル・ウォーターズあたりでしょうか…)。本1956年作(スタジオ・ライヴ風?)でも、そんなマキシンの軽味のある歌声をスィンギーかつフレッシュに聞かせて見事、入れ替わり合いの手風っぽいアドリブを挟み込む自由職人風情のクインテット演奏が、また、実に素晴らしく、ま、ジャズ音痴の自分のような者でも、やっぱりサイコーだな、と言ってしまいたくなるわけです。
それにしても、マダガスカル王家末裔、アニー・ラザフ〜オーストロネシア系(インドネシアや、その源流となる台湾)と、アフリカ東海岸のバントゥー系諸族を祖先とするマダガスカル王家の血筋を引く彼女の曲が、ミニマルでクール、囁くようにも聞こえ、決してリキむことのない、マキシンのスモール・ヴォイスと出遭った本作あたりが、後のヴィブラートを排し、ストレート・トーンを特徴とした“クール・ジャズ” の出発点ではなかったのか?なんて、クリス・コナーやチェット・ベイカー、あるいはマイルスあたりにも繋がる感覚に結びつけたりしつつ…、こりもせず、門外漢なりに想いを巡らせてみようかとも思ったのですが、まあ、それは、ちょっと無理、というか手にあまる話、と、諦めることにしました。
が、それはそれとして、もう一つ思いついてしまったのは、牧伸二、ひょとしてマキシン・サリヴァンが好きだったのじゃないか?なんて、PCググってみましたが、まったく、そーゆーことはないようです。

1 Keepin’ Out Of Mischief Now
2 Massachusetts
3 How Can You Fave Me
4 S’posin’
5 My Fate Is In Your Hands
6 Stompin’ At The Savoy
7 Honeysuckle Rose
8 Memories Of You
9 Ain’t Misbehavin’
10 Mound Bayou
11 Christopher Columbus
12 Blue Turning Grey Over You

*ジャケに少々折れ目がありますが、ほか、特に問題のない中古盤で在庫あります。¥2600

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