思い返せばコロナという新型ウィルス(いろんな疑惑を生んでいますが…)が、現実のものと感じられた最初のキッカケは、ワレワレに親しい名だったアフリカ音楽の大ヴェテラン、マヌ・ディバンゴが “世界的な有名人” の先陣を切って、最初のコロナ犠牲者となってしまったその時だったような気がします。
長年親しんだアフリカ音楽のレジェンドの一人、マヌ・ディバンゴは、2020年3月、パリでコロナに感染し86歳の生涯を閉じたのでした。
そも、1960年代初頭から母国カメルーンで活動開始、ほどなくパリへ拠点を移し、その後、長らく活躍して来た人なので、まだまだヤルことがある?とは、特に思いはしませんでしたが、なんだか、この人は、そういう星の下に生まれたんだなあと(流行に敏感?)、変に納得したということはありました…いつも、メジャー?、いつも、ニュースになる、ところがある人でした。
ワレワレより一つの前の世代の方々なら、アフリカ音楽と言えばミリアム・マケバということになるんでしょうが、そのマケバ流行時から一世代のちに世界的に名の知られたアフリカン・アーティストと言えば、やっぱりこのマヌ・ディバンゴだったと思います(フェラ・クティが知られるようになったのは、順番から言えば、マヌの後でした)。
思えば個人的に、最初に買ったアフリカ音楽のレコードはマヌ・ディバンゴの日本盤シングル “ソウル・マコッサ” (1971)だったと思います。後に、フェラ・クティ “ゾンビ” LPと前後して、マヌの “万象律動(MANU’76)” も買いました。当時、双方とも国内盤LPが出ていましたから…、で、ソウル・マコッサのあの印象的なサックスに次いで、2番目に思い出されるのは万象律動の収録曲 “Bokilo’s Boogie” のサックスとエフェクティヴなギターのカッティングということになるでしょうか?。
より後年、既に、レコード屋に勤めたりして、その道に入ってしまった後の作品と言えば、”NEGROPOLITAINES vol,1 ” (1989)だったでしょうか。或る日、中村とうようさんが、〜やっぱりマヌは地力があるな、なんて(本当は、どんな風におっしゃっていたか全然憶えてませんけど)そんな意味のことをおしゃっていたような記憶があります。そう言われてみて、ふ〜んと思いつつよくよく聴いてみれば…、ということになりますが、 “NEGROPOLITAINES vol.1 ” に収録されたミリアム・マケバ曲のカヴァー> “Pata Pata” のサックスが、個人的に3番目に印象深い曲となりました?
続いて、1995 年にリリースされた続編 “NEGROPOLITAINES vol.2” の “Miango” …も印象に残っています。この人は、その時々の流行音楽を自分の音楽に引き込むのが上手いなあ、なんて、そのリズム処理とかに感じ入ったことも憶えています。“コスモポリタン” が世界市民なら、 “ネグロポリタン” は黒人世界市民 か…、上手いこと言うよな、とか思った今にしても、そう思います。。
ま、そーゆー個人的な思い出はともかくとしても、この “NEGROPOLITAINES” 2部作、マヌの後期代表作であることは間違いないでしょうね。その2作をカップリング(ホントは3曲足りないんですが、収録時間の都合上、それはそれとして、決して入手困難ということでもないこの2作なのに)CDをリリースし、追悼の意を表した仏フレモウ&アソシエ社の意気にもサムシングを感じたりする次第。
以下、国内配給時のメーカーインフォより
● 1972年、フランス経由ながら祖国カメルーンの音楽にインスパイアされた「ソウル・マコッサ」を世界的にヒットさせたマヌ・ディバンゴ。フェラ・クティより前に、アフリカ・ポピュラー音楽の素晴らしさを世界に知らしめた巨匠です。
● その後、アフリカ音楽とファンク、ジャズなどを繋げ広範囲に活動し、アフリカ音楽のレジョンドとして、精力的に活動しました。ハービー・ハンコック、ドン・チェリー、ビル・ラズウェル、マテリアル、ブーツィー・コリンズ、バーニー・ウォーレルからレゲエのスライ&ロビー、モリ・カンテ、ファニア・オールスターズ、そしてフェラ・クティ、アンジェリーク・キジョーらのアフリカ勢などなど、世界中のビッグ・ネームと共演し、また自身のアルバム製作に招いたりしてきました。
● 日本でも、1970年代にはすでに国内盤アルバム『万象律動(MANU’76)』が紹介されていますし、トヨタのカローラのコマーシャル・ソングとして前出の「ソウル・マコッサ」が起用されたり、トヨタのPRレコードがマヌによって製作されたりと、ワールド・ミュージック・ブーム以前から親しまれていました。
● 本アルバムは、1989年と1995年に発売された名盤の誉れ高い『NEGROPOLITAINES』シリーズの2枚のアルバムからセレクトされたものです。タイトルからも解るとおり、アフリカを中心に世界中のブラック・アフリカの音楽スタイルを彼特有のジャズ、ファンク色を絡めて紹介しています。初期のファンキーなダンス・ミュージックを基盤とした音作りやビッグ・ネームと共演した豪華なサウンド等とは少し違った、より黒人としての内面に迫ったサウンドを聞かせています。またそんな中にも、アフリカ音楽の大らかさやポップさもしっかり感じさせてくれ、巨匠の後期代表作といえるものです。
1 Panafrican Jam
2 Diana Lama
3 Negropolitaines
4 Mpulimwamoni
5 Oh Koh!
6 Minuit Au Circuit
7 Aloko Party
8 Independance
9 Miango
10 Missiya
11 Mudied’Asu
12 Longe Lese
13 Parfum des Iles
14 Pavane Pour Melodie
15 Christmas Flash
16 Pata Pata