遅れてやってきた“フィーリンのミューズ” マルタ・バルデース。彼女が1991年に残していた幻のソロ・アルバムを、リマスターで蘇らせました。
●ホセ・アントニオ・メンデス、セサル・ポルティージョ・デ・ラ・ルス、グユンらの単独アルバムや好コンピレーションの発売により、キューバ~ラテン・ファンからジャズ・ヴォーカル・ファン、さらには20歳代後半以降のジャンルレスな音楽ファンまで注目する“フィーリン”。1940年代~1960年代頃キューバを出発点とし、モダーンなヴォーカル・ミュージックのムーヴメントとして、中南米カリブ全域に広まった音楽表現です。
●上述のアーティストたちをフィーリン第一世代とすると、第二世代を代表する音楽家といえるのが、このマルタ・バルデースです。1934年生まれですから、フィーリン・ムーヴメントが始まった頃はまだ10歳前後。しかし、早くからグユンなどに音楽の基礎を手ほどきされたらしく、彼女の曲作りは第一世代を上回る高度なコード感やハーモニーを感じさせてくれるものばかりです。また歌詞も文学的なものが多いようです。
●そんなフィーリンのミュージシャンの中でも唯一な世界感を醸し出す彼女の作品は、1950年代から現在に至るまで多くのミュージシャンに取り上げられてきました。ボラ・デ・ニエベ、エレーナ・ブルケといった往年の大スターからジューサ、ヘマ・コラデイラといったアーバンな感覚を持った現代のミュージシャンまで…。
●そんなマルタ・バルデースですが、その音楽活動の最初期からライヴではギター弾き語りでパフォーマンスを行っていたようですが、レコーディング歴はほとんどなく、オムニバスや彼女へオマージュされたアルバムで1~2曲歌う程度でした。そしてこれまでは、1999年に録音されたスペインのピアニスト、チャノ・ドミンゲスとの共演アルバム『TU NO SOSPECHAS』が初めてのアルバムだと思われていました(その後さらに2枚のアルバムを録音している)。
●しかし、1991年に自作曲ばかりをギター弾き語り(数曲で簡単なパーカッションがつくものも)で録音したアルバムが存在することが判り、内容もフィーリンの第二世代を紹介するのに最適なものだったので、こうして日本盤発売を決定しました。キューバ本国でも、たぶんカセットでしか発売されていなかったアルバムだと思われ、また世界初CD化でもあります。
●まさにマルタ・バルデースの内証的なイメージの中のフィーリン(グ)を、独特な色合いで、しかし自由に発露した弾き語り。キューバ音楽の中でも特異な彼女の世界を堪能ください。
(メーカーインフォより)>こちらで試聴可!
△参考!
曲目表:
1. En la imaginacion 夢想 (Cancion)
2. No te empenes mas もう言い争いはたくさん (Bolero)
3. Tu no sospechas 疑わないのね (Cancion)
4. Cancion dificil むずかしい歌 (Cancion)
5. Hacia donde? 何処へ (Bolada)
6. Aunque no te vi llegar あなたが来なくても (Criolla)
7. Por si vuelves 戻ってくれたら (Cancion)
8. Aida アイーダ (Cancion)
9. Llora, llora ジョラ (Bolero)
10. Por La Habana ハバナへ (Habanera)
11. Ay, placido! アイ、プラシド!(Cancion)
12. Jose Jacinto ホセ・ハシント (Cancion)
13. Ave de madera 木彫りの鳥 (Habanera)
14. Macaya マカヤ (Cancion)
15. El octavo dia 8日目 (Danzon)