1969年ギリシャ第2の港湾都市テッサロニキに生まれ、若くしてギター弾き語りを始め、地元のカフェで歌っていたという女性歌手にして、ソングライターです。お顔がメリーナ・カナにそっくりですが、それもそのはず、実の妹さんなんですから、ちなみに、デビュー・アルバムはお姉さんのメリーナが91年、このリゼッタ・カリメリは94年ということになります。で、このリゼッタ、テッサロニキの大学で哲学を学んだ人だそう。だからでしょうか、その歌には、独特な内省的雰囲気が感じられますね。ギリシャのフォークロア&ライカ風味の強いトラッドな音楽性、プラスαが感じられます。数ある欧州トラッド&歌謡曲の中でも最も仄暗い?かも知れないギリシャの歌謡音楽に実に馴染む雰囲気の持ち主で、トルコで言えばKALAN レーベルにも似たアテネのLYRA のレーベル・カラーにもピッタリです(ちなみにメリーナも長らくLYRA レーベルに属していました)。その音楽性もメリーナに似ているでしょうけど、強いて言えば、メリーナよりも柔らかな発声、より繊細なムードさを感じさせもします。本作はリラに残した、おそらく5枚のアルバムから選ばれたベスト2CD、ディモーティカからアマーン・ソング、モダーン・ライカ、そしてバルカンやトルコの音楽性を感じさせる曲や、フォーキーなオリジナル・ソング等々、デビュー当初から変わらぬアコースティックな指向性において、淡々としていながら哀愁味も濃く滲む歌声を、じっくり楽しませてくれます。