パリの彷徨えるミクスチャー・バンド~ラティライユ新作です。バルカン~オリエント指向は健在、アコーディオン、クラリネット&ブラス、ガイタ、ウードやギター、マンドリン等々にジプシー&アラビックな風味を効かせながらも…、この人たちの場合は、炸裂するブラス、というのではなしに、どこかダウナー、盛り下がりの美学があります。スカ・ビートやバルカン風変拍子、ミュゼット調2ビートなど、リズムのノリはあるのですが、どこかゆったりと哀感のこもった旋律を聴かせる方向に演奏が傾いて行きます。夢破れて呆然、というか、祭りのあと、というか、そんなムードが全編に漂い、しかもそれが、どこかクールに響く~独特な印象を放ってます。聞くところによれば、失われし共産圏へのノスタルジーを奏でているのだとか…。そういえば曲によって付くコーラス仕立てのヴォーカルは労働歌にも聞こえますね。まあ、不思議な5人組です。