ナジワ・カランが八代亜紀なら、こちらチュニジア出身のヴェテラン女性歌手のラティファは、さしずめ川中美幸?ってそんなことばかり考えていても仕方ありませんが…、前作ではフェイルーズの息子=ジアード・ラハバーニ全面制作、フェイルーズ・スタイルの新境地を聞かせてくれたこのラティファ、引き続き新興ロターナからのこの新作でも、冒頭1曲目はそれなりに若作り、打ち込み多用のダンス曲になっているものの、続く曲の並びの多くはトラディショナルかつ端正なバラード系アラブ歌謡~揺れるメリスマと、どこか浮遊感ある歌い口で、ロマンティックな歌唱を聞かせています。たなびくようなストリングスが古典の香りを演出する中、しっとりとした艶のある歌声を楽しませてくれるわけです。