フランスの個性派レーベル“No Format! “の過去の作品から、隠れた名作をご紹介いたします。西アフリカの伝統音楽で使われる木琴“バラフォン”と、ジャズなどもよく使われるヴィブラフォンという、同じようにメロディーを奏でられる打楽器同士の共演を記録した歴史的名作です。
バラフォンは一説には13世紀に誕生したという西アフリカの伝統打楽器。当地の文化を口承伝達してきたグリオーと呼ばれる人々が中心となってその演奏を現在まで伝えてきました。木でできた大小様々な音板を並べ、その下に共鳴用のひょうたんをぶら下げているのが、その構造的な大きな特徴。種類によってはサワリの音を出してノイジーな音色を加えています。
一方、ヴィブラフォン(ヴァイブ)は20世紀前半に生まれた比較的新しい楽器で、音板や共鳴管には金属を使用。音の余韻をコントロールするダンパーペダルやヴィブラートを発生させるシステムなど、メカニカルな部分がありますが、基本的な構造はバラフォンと同じ。ミルト・ジャクソンを初めとするジャズの演奏家がこぞって使ったことで広く知られるようになりました。
そんなバラフォンとヴィブラフォンとの共演を、ベース+ドラムズの伴奏をつけて聴かせるといったコンセプトで作られた最初のアルバムがこれ。バラフォンを演奏するのは、カッセ・マディ・ジャバテの『キリケ』(NFR-891)にも参加していたランシネ・クヤテ。そしてヴィブラフォンの演奏は、ヨーロッパで人気の高い韓国人歌手ユン・サン・ナのグループでも活躍する白人の若手演奏家デイヴィッド・ニールマンが担当。西アフリカの伝統に根ざしたマンディングの音楽に、ジャズのインプロヴィゼイションを取り込み、新しいテイストのアフリカン・ジャズをここで目指しました。また1曲でマリの女性歌手ママニ・ケイタがゲスト参加し、すばらしい喉を聴かせてくれます。
現地では2008年にリリースされた作品でしたが、なぜか日本ではこれまで未発売のままでした。ぜひこの機会にこの素晴らしいコラボレイションをお楽しみください。(インポーター資料から)