KAROLINA / IZVOR

旧ユーゴ、現”北マケドニア”の人気女性歌手、カロリーナ・ゴチェヴァの2019年新作です。先だって、>こちらが初入荷、即売り切れを繰り返し、静かに評判を呼んでいる女性歌手ですが、いかにも洋の東西の交差点、マケドニアらしい歌謡性と、1980年生まれという世代からでしょうか、ジャズや欧米POPの発声も感じさせもする歌です(「サンバを歌うマリーザ・モンチみたい」という言い方もありますが…?)。
10歳の時から歌謡フェスやコンテストに出場、92年には未だ12歳ながらカセット・アルバムでデビュー、1994年からは、スコピエで行われるユーロヴィジョン出場者選考コンテストに参加し、2002年、ユーロヴィジョン初参加決定時には英語で歌うことを要請されるも拒否、出場辞退したということですが、主催側が折れての出場となったということです。結果的には欧州での人気はともかく、バルカン全域から支持される人気歌手のスタート地点に立つことに。その後、00年から数え、本作は11枚目のCDアルバムとなります。
で、本作、作曲・編曲は鍵盤奏者(アコーディオンも)のニコラ・ミチェフスキー、2014年の『マケドニアの少女たち2』の作曲・編曲もつとめていた人ですね(先にリンクした08年の『マケドニアの少女たち』初作は別人の作曲・編曲となります)。その2014年から4年間、アルバム・リリースはなかったのですが、もともとPOP系、あるいは欧米風のダンス音楽も歌っていたカロリーナのこと、4年沈黙してリリースした今作が、マケドニアの民謡を素材に生み出されたベストセラー『マケドニアの少女たち』路線ということは、そろそろ40歳、ミハイル・コルビン(現代マケドニア人気画家)の描いたジャケはともかく、伝統路線で行くことを決めた作ということにもなるでしょう。
歌い口は『マケドニアの少女たち』2作より、ややPOPになっているでしょうか?クラシックも学んだというニコラ・ミチェフスキーのアレンジは、ピアノを軸としながらも、端正なストリングスを配することもすれば、時にカヴァルやタンブラといったバルカンの民俗楽器、あるいはアコーディオンやクラリネットも聞こえる民俗色を活かしながら、全体スロー&ミディアムな曲調に見合ったものと聞こえます。そんな中、通りよい靭やかさを持って、マケドニア風(スラブとロマとルメリアのミックス?)のメロディーを辿るカロリーナの歌声が、じっくりとバルカンの哀愁に寄りそって行く感じ、悪くないですねえ…。

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