K1 DE ULTIMATE / FUJI THE SOUND

K1 DE ULTIMATE こと、ワシウ・アインデ・バリスターの2020年ヒット作です。ご紹介が遅れましたが、異形のナイジャPOP&FUJIアルバムとして、去年から話題を呼んでいた作ですね。当方のナイジェリアCDサプライヤー氏によれば、現地オールドタイマー・リスナーの間では、バーナ・ボーイの新作よりも全然受けていたそうです…。
って、まあ、それはそーでしょうとも…、当方にしたって、決して昨今のナイジャPOP&HIPHOP が面白くないとは微塵にも思いませんが、ヴォーカル・スタイルのあり方が、今ひとつ、長らく聴いて来たヨルバなりイボなり、ハウサなりの昔ながらの美意識に寄りそっていないところに、ちょっとだけでも不満がないと言えば、やっぱり嘘になります。
とはいえ、K1 DE ULTIMATE、ヨルバ系打楽器音楽から発したフジ、という音楽のPOP化を試みて来た2010年代以降の作品群が、面白かったか?と言えば、まあ、あんまり面白くなかったわけですね(中にはイイものもありましたが…)。でも、やっぱり80〜90年代の昇龍飛ぶ鳥を落とす勢いだった改名前のワシウ・アインデ・バリスター時代、当時の作品群は凄かった。ややもすれば、ヨルバ系ヴォーカル・スタイルの伝統的な美意識の世紀末的な更新を、一人でやり遂げてしまいそうな勢いがありました(意味不明重々承知)。何しろ、持って生まれた肉声が尋常ではありませんからね。その歌声がケニーGみたいなソプラノ・サックス入りのバックから聞こえて来た時の失望感と言ったら、もう、コイツの新譜は2度と聴かないぞ、と、何回も決心しながらズルズルと年月を過ごして来たのですが…。
で、話が横道にそれてしまう前に、一足飛びに結論を言わせていただくならば…、イイじゃないですか、ナカナカ!中途半端にフジという音楽スタイルの21世紀的なPOP化を試みるよりも、その肉声をもってして、ナイジャPOPスタイルに土足で踏み込んだようなこの新作、その “土足感” が、イイじゃないですか!?というところで、少なくとも、FUJIの美意識を持ってして歌い上げたこのワシウのナイジャPOP/  アフロビーツ・アルバム、暑っ苦しさを持って暑さを制す?梅雨が開けたら、ちょくちょく聴きたくなってしまう今日この頃でした。
それにしても、このジャケ、もう少し何とかならなかったのか?youtube でUP されている視覚デザインを流用してくれたら、もっと売れるのになあ…、と、相変わらずFUJI周辺の音楽制作者側のマーケッティング感覚の古さを嘆く反面、ま、そういう古臭さ、嫌いでもないんですが。

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