トロピカリズモの重鎮歌手として知られるジャルズ・マカレーは1943年リオ・デ・ジャネイロの生まれ。60年代中頃にデビュー直前のマリア・ベターニアやカエターノ、ジルたちと知り合い、その後69年にはトロピカリズモ運動に参加、その一端を担うようになりました。そして70年には渡英し、亡命中だったカエターノとジルと再会して親交を深め、さらにガルやベターニアに楽曲を提供するようになります。そんなジャルズ・マカレーは72年にデビューLP『Jards Macale』をフィリップスから発表しますが、本作はそれ以前の70年にRGEから発表した4曲入りのミニ・アルバム『So Morto』を元に、1970-73年の間に残した音源10曲をプラスしたスペシャル盤として再発されたもの。ちなみに今年はジャルズの生誕70周年ということもあり、こうした企画が持ち上がったのだそうです。
ここで聞けるのは、当時のトロピカリア・サウンドを象徴するような、ブルース・ロックを基調としたサイケデリックなサウンドが中心。深めのリヴァーブが掛かったヴォーカルからは、当時の混沌としたブラジル音楽らしさが感じられるかもしれません。