まだ、ちゃんと聴いていません。ズボラ決め込んでいるというよりは、あんまり高くなってしまって、ションボリしてしまったからですね…(正直、この価格でも当店的には出血価格というションボリですが、これ以上、高くしてどーする?ということで)。が、しかし、youtube リンク “Nazetke” の1曲のみを聴いて、ほぼ名作と確信しオーダーしたわけです。イラニアンPOPの女王、グーグーシュ、オフィシャルCDとしては、>こちら2015年作以来の当店入荷です。
…先だって、入荷した在米ベトナム人歌手の最高峰、11年ぶりのニュ・クインが、現在はともかく、サイゴン陥落以降、現地ベトナムでは長らく絶えていた大衆歌謡 “ボレロ” を北米の地で受け継ぎ、歌い続け、最高の境地を聞かせてくれたように、このグーグーシュも、イラン革命後、現地に絶えてしまった女声イラニアンPOPを、北米の地で再び歌いつなぎ、最高の境地を聞かせてくれているに違いないことは、7年ぶりのCDですからね、全部聴かなくてもわかる?よーな気がするわけですね(って、相変わらずイイ加減ですが…)。詳しくは後刻〜
というわけで後刻です。通して一曲づつ、じっくり聞かせていただきましたが、う〜ん、やっぱりイイ歌い手ですねえ。今年71歳(奇しくもギリシャのハリス・アレクシウと同じ歳なんですが)、その歌声に目立った衰えは聞こえず、これまで通り、哀感をおびた節まわしで、抑えの効いた歌唱を切々と重ねながらも、その歌が起承転結を結ぼうとする一歩手前で身を引き、あと少し、歌い切らずに残した余韻に万感を込めるような(ペルシャ古典歌謡にも少し通じる?)、そんな寸止め?というか、余白を残す “歌謡曲” スタイル、とでもいうか? すべて歌い切ることから身を引くグーグーシュの歌の作法は、今作でも健在です(〜個人的にそう感じるというだけの微妙な話、伝わりにくいかも知れませんが、打ち込み&プログラミングに頼った幾つかの曲の中でも、彼女の歌のあり方は変わっていませんよね)。
振り返ってみれば、パフラヴィー朝専制のイランの日々、脱イスラーム化と世俗主義による “自由な社会” の中、幼い頃から歌い出し、映画に出演し、国民的な人気を得た芸能生活を29歳まで続けたグーグーシュでした。が、女性が一人で公共の場で歌うことを禁じることとなる、1979年のイラン・イスラム革命が成立してから以降は、21年もの間、決して人前で歌うことなくイランはテヘランにとどまり続けたグーグーシュでもありました。が、20世紀の最後の年、突然、北米へ移住し歌手活動を再開、歌を取り戻し、21世紀を迎えたグーグーシュでした。
それから、また21年が過ぎ、2021年にリリースされたこの新作(最初は配信のみ?CDリリースは今年になってのことかも知れませんが)は、その幾つも現れる “21” という数字 “TWENTY ONE” をタイトルに冠した作であり、グーグーシュにとっては、来し方を振り返るような、いろんな感慨が込められた作ということになるでしょう…。
もしかしたら、引退?なんて、そんな風にも…。いや、全然元気そーだし…それはないことを祈りましょう。