★ガリア・ベナリ / ウム・クルスームを歌う
才気溢れるチュニジアの女性歌手、ガリア・ベナリが「アラブ音楽の至宝」ウム・クルスームを歌う。
その偉大なる歌唱と伝説的な数々のエピソードで、死後30数年を経ても尚アラブ世界全土で今現在も愛され敬われ続け、「エジプトの星」として燦然 と輝き続けるウム・クルスームは、
エジプト音楽黄金期の立て役者のひとりでもあります。
ベルギー生まれで3歳から21歳までの多感な時期を両親の故郷チュニジアで過ごしたガリア・ベナリ。
彼女は4歳の時にウム・クルスームの「Al Atlal」を古いLPで聞いた時から、ずっと心に持ち続けながらも、プロのシンガーとしては「そう簡単には歌うことが出来ない」と、レパートリーにすることは躊躇してきたといいます。
しかし、ついにガリア・ベナリはウム・クルスームを歌う決心をしました。
ただし、黄金期のウム・クルスームのような荘厳なオーケストラをバックに ではなく、ウード、ベースとパーカッションというシンプルな演奏で。
それは「偉大なエジプトの星と競うのではなく、全く別の解釈でシンプルに且つ 身近な雰囲気で歌いたい」という思いから生じました。
本作が4枚目のアルバムとなるガリア・ベナリは、現在もベルギーに住みながら音楽活動を続けています。
ルーツであるチュニジアを含む北アフリカ、アラブ音楽だけでなくインド音楽やフラメンコにも造詣が深く、女優としてトニー・ガトリフ監督の「僕のスウィング」に出演するなどマルチな才 能を発揮しています。
彼女の艶やかで深みのある歌声が、円熟し堂々たるエンタテイナーになる前の若き日のウム・クルスームを蘇らせたと言っても過言ではないでしょう。
収録曲は真の名曲ばかり、特に「Al Atlal」は20分以上の堂々たる作品になっています。