結局~このコリン・M・ターンブルによる、1950年代後半から60年代初めにかけフィールド・レコーディングされたピグミー音楽アルバム~内容的にこれ以上の音源はありませんよね…。旧ザイール/現コンゴの熱帯雨林=イトゥリの森に住まうムブティ・ピグミーの、この上なくシンプルで、この上なく深いニュアンスに満ちた豊饒・静寂の音世界!冒頭の雷の音で、もう持ってかれてしまいます。とりあえず、ピグミー音楽のCDを、何か1点聴いてみたいという方には、自信を持って本盤をオススメします。
ピグミーの音楽を初めて聴いた個人的にも思い出深い盤です。英国生まれの人類学者、コリン・ターンブルによるフィールド録音で、コンゴはイトゥリの熱帯雨林に暮らすピグミーの男女の合唱に、拍子木やマラカス状の簡易な打楽器リズムも交わる曲を中心に、濁った音色のハープや子供たちの合唱、親指ピアノも聞こえる内容となっています。そして、やはり、幾つかの声部が微妙にズレて行くことで生まれる、あの有名なモアレ状のポリフォニーには、何度聴いても魅せられてしまいますね。阿吽の呼吸が編んで行く様々な声音やリズムの重なりが、深い森の中、刻々と姿を変えながら残響を生んで行くさまに、陶然となってしまうのでした(〜と、最近、書かせてもらったMM誌原稿を些少アレンジしたもの、すみません)。
1 Elephant Song – Mbuti
2 Leaf-Carrying Song – Mbuti
3 Agba’a – Mbuti
4 Hunting Song – Mbuti
5 Honey-Gathering Song – Mbuti
6 Clementine (Batwa Pygmoids) – Mbuti
7 Harp Song – Lese
8 Song of Men and Women – Lese
9 Marriage & Celebration Song – Lese
10 Stock and Zither Song – Bera
11 Dance Song of Woman – Bera
12 Skipping Song – Bera
13 Funeral Song – Bera
14 Praise Song – Bera
15 Song of the Harp – Nyari
16 Song of Old Men – Nyari