1996年18歳でソロ・デビューして以来、チャートのトップに君臨し続けてきたマレイシアを代表する歌姫、シティ・ヌールハリザ。その彼女もいまや45歳となりましたが、キュートな容姿も美しい歌声も未だ衰え知らずということをしっかりと証明してくれたのがこの最新作です。 スタジオ・アルバム20枚目となったこの『シティズム』は、アルバム『Legasi』(2021年)リリース後、2023年6月30日にシティ・ヌルハリザ・プロダクションズおよびユニバーサル・ミュージック・マレーシアを通じてダウンロードおよびデジタル・ストリーミング向けにリリースされました。美しく哀感漂うスロー〜ミドル・テンポのバラードを軸足に、マレイシア市場最も偉大なヴォーカリストの一人に数えられる男性歌手/俳優のアウィー(Dato’ Awie)とのポップなデュエット・ナンバーなども収録。 今回ご紹介するのは、デジタル配信された全8曲にさらに⑨⑩⑪⑫の4曲を加えたデラックス・アルバム仕様。縦長のデジパックの中には全曲歌詞とシティによるコメントが掲載されたブックレットが同梱されています。近年の諸作同様、在庫なくなり次第廃盤となる可能性が高いので、お求めは是非お早めに!!!〜サプライヤーインフォより
>こちらで紹介されています(無断リンク陳謝&感謝)!
1 Menyapa Dunia 3:06
2 Tanpa Diri-Mu 4:11
3 Sehebat Matahari 3:56
4 Ganti (duet Nao Zumar) 3:25
5 Romansa Kita 3:36
6 Teratas 4:21
7 Menjaga Cintamu (Ost Anwar, The Untold Story) 4:07
8 Magis 3:14
9 Senyawa 4:46
10 Kalau Berkasih (Duet Dato’Awie) 3:36
11 Nadi 3:40
12 Kusedari Cha’an 4:03
以下、当方担当のNHKラジオ小コーナーで、本盤からの曲を紹介した際の台本元原稿となります。
「マレーシア、現役最高の人気女性歌手新作」
今日は、マレイシアを代表する女性歌手、シティ・ヌールハリザの今年の夏、発表された新作をご紹介します。
シティ・ヌールハリザは1979年1月生まれ、今年44歳となる女性歌手、
デビュー・アルバムは17歳の時、この新作は20作目のオリジナル・アルバムとなります。
2年前に出た、新作が発表された時にも、このコーナーで、ご紹介させていただいたんですが、
やっぱり、この夏の新作でも、変わらず素晴らしい歌声を聞かせてくれるので、
ご紹介させていただきましょう。
東南アジアで唯一、英国のロイヤル・アルバート・ホールでコンサートを催したり、
アジアのセリーヌ・ディオン、なんて呼ばれたり、
マレイシアで、現役最高の人気を誇る女性歌手であることは、もちろん、
個人的には、今、アジアで一番、上手い人かもしれないなあ、と、この新作を聴いて納得してしまったんですが、どうでしょうか?
とにかく、1曲お聞きいただきましょうね、
シティ・ヌールハリザの新作から、
曲名は、ムニャパ・ドゥニア
なんだか、溜息が出ますねえ、
大きく空に弧を描くような、メロディーを、
完璧な歌い口でたどりながらも、
そこはかとない、哀愁を感じさせるその歌声に魅せられてしまいます。
いかにもマレーシアらしい情感表現に忠実でありつつ、
国境を超えて響く歌声として、
アジア全域で聞かれてしかるべき歌声かとも思います。
こんなに完璧なのに、
決して大仰なところはないし、
繊細で、瑞々しい歌声として聞こえるところもスゴイことで、
女王さま、って感じがしないところ、
親しみを持って聞けるところも、
この人ならではでしょうね、
曲名の”ムニャパ・ドゥニア”は、「世界に、こんにちは」という意味です。
こんなことを歌っていました。
あなたのおかげで私はここにいます
心も魂も歌い続ける
すべての気持ちをこめたわたしの歌
あなたのおかげで私はここにいる
恋をして、そして愛しています
どうも、ありがとう
これからも歌い続けます
うわー、どうもありがとう
歌い続けます
これからも歌い続けると誓います
これだけの歌唱力があるんですから、最後は盛り上げ、
絶唱したりするのがフツーなんですが、
余韻を引きながら、消え入るような歌い口で終わってく感じが、この上なくイイですよね、
それでは、もう1曲、
シティ・ヌールハリザで、曲名は 「マジス」
曲名の「マジス」は、英語のマジックから借用された外来語でしょう、
「マジカル」という意味だと思います。
こちらの曲はミディアム・アップのダンスビートの曲。
どこかエキゾティック、アラブ風の旋律や、
インドネシアのガムラン音楽風のブレイクを挟みながら、
一人多重録音で、コーラスも歌いつつ、
やっぱり、マレイシアならではの、どこかマイナーなメロディーを、
軽快に、少しミスティックに、絶妙の節まわして歌ってくれました。
やっぱり、伸びやかではあっても、決してリキムところのない歌声かと思います。
あなたの目を見れば、愛されている感じが伝わって来る、
眠ろうとして、溜息をつく、
まるで、恋をしながら、夢の海に船出するみたい
本当にそう感じてる、
そんな歌詞で始まる曲です。
そして何度か繰り返されるリフレイン部分は、以下のように歌われていました。
愛するあなたへ
わたしは、ただ、愛されたい、そして、寂しがりたいだけ、
いつの時代にも愛されて来た詩人、
肥沃な土があって愛は育つの
愛するあなたへ
もし、わたしの世界が一つだけだったら※
すべてを捧げたのに
と、そんな恋愛の曲でした。
※部分に関する追記、
シティの世界は少なくとも、
もう一つ、歌の世界があるので、
あなたにすべてを捧げることができない、そんな意味なのか?
あるいは、もしかしたら、ムスリムとして、
信仰の世界もある、ということなのか?
よく、わかりませんが…
日本の恋歌ソングの感覚では、ちょっと不自然な歌詞なので勘繰ってみました。