数いるベトナム女性歌手でも、ちょっと暑くなると聴きたくなること最上位でしょうね(個人的に)。月明かりの河に船を浮かべて、333ビールでも飲みながら生春巻かなんかつまんで、灯籠を眺めながらアオザイ女性でも傍らに…あ〜あ、そーゆー夏が来ないものか、と。それにしても新譜が出ませんねえ、トラッドの人だから毎年出すわけじゃないでしょうけど、そろそろ新譜がでないものかといつも気にしているんですが…。というわけで、>こちらで紹介されています(毎度無断リンクすみません!)。
タイトルは『フエとともに愛す』という感じでしょうか?最後の王朝、グエン朝の都でもあったベトナム中部の古都、フエ出身の女性歌手ザ・レーのデビュー・アルバムだそうです。バックには、ダン・ニ(胡弓)、ダン・グエット(月琴)、ダン・バウ(一弦琴)、ダン・タム・タップルック(ツィター)、そしてフエ古謡のシンボルとでも言うべき筝、ダン・チャン〜といった多彩な弦が揃いました。そこに大小の竹笛が音色が加わり、両面太鼓や拍子木が調子をつけ間を取ります。つまり、完全アコースティック / 純トラッド調ということになりますが、このザン・レーの歌い口に大仰さは皆無、取りすましたところもなく、やわらかで涼やかです。どちらかと言えば情緒濃いハノイの民歌とも、少々シアトリカルなホーチミンの歌謡一般と違って、これはやはりフエならではの歌い口と言うべきなんでしょうか…。メロディーから一歩引き、言葉そのもののイントネーションを大切に謡うベトナム的唱法の、その柔らかな発声はあのフーン・タンにも似ていますが、高低音域の振り幅がより小さく、どこか奥ゆかしい微妙なメリスマ使いと聞こえます。なるほど、幽玄なるかなフエの宵に響く古謡…、いいじゃないですか、川面に灯籠を流すフエの女…!
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