当店でもセネガルの女性歌手ではナンバー1の人気かと思います。クンバ・ガウロの2018年作です。コレまでの作に較べても、その完成度の高さ、コンセプトのおもしろさとも、随一のアルバムかと思います。今年入荷のセネガル〜アフリカものでも、今のところ一番充実しているかも知れません。
曲名表記のあとに括弧で何か書いてあるので、調べてみると、1曲目2曲目の “Tambacounda” とあるのはセネガル東部の都市、タンバクンダ(ダカールから東に400キロ)及びタンバクンダ州のことかと思いますが、この辺は元マリ帝国に属した土地で、今もってマンデ系の人々が住んでいます。で、なるほど1曲目2曲目は全然ウォロフ / ンバラ系歌曲ではなく、マンディングPOP生音仕様の素晴らしいトラックとなっています。コラやマンデ・フルート、そしてブラスまで聞こえるスケールの大きな曲、う〜ん、クンバ・ガウロ、やっぱり只者じゃないですね。
2曲目 “Bundou/Fouta” とあるのも地名、セネガル東部、ファレメ川とガンビア川上流に挟まれた地域で、地図で言えばマリ〜 ギニアとの国境地帯。ここにはセネガルの人口の10%を占めるトゥクロール人が住んでいて、フラニ語西部方言のハルプラール語を話す人々が住まわっています。そのハルプラール語の結婚式の歌、と、セネガル盤としては超珍しいCDの分厚いブックレット解説に書いてあります。そう言われて聞いてみると、なるほどフラニで結婚式かあ…、と、理解することも可能。同様に、4曲目の “ケドゥグ” はセネガルの南東部に位置する都市、やはりギニアおよびマリとの国境に近く、その地域に住まう ジャハンケ人のトラディショナルをモチーフにした曲であり、6曲目 ジョラ人の多く住まう“カサマンス” 、7曲目のセレール人の多く住まう“シヌ=サルーム” は、言うまでもないでしょう…。
ほかPOPンバラとは一味違うウォロフ系タマ&サバール活躍の生音トラックが2曲収められ、10曲目の “Laye Bamba” とあるのはレイ・バンバ・セックのことでしょうか、これまでにもクンバ・ガウロとの共同作曲のある人によるバラード曲(というか、クンバの父上とのこと、bunboniさんがそー書かれていました)、もう1曲、切々と語り訴えるようなバラードが続き、ラスト(ボーナス曲)はダーラJのファーダ・フレディとの共作曲、この曲は打ち込み使用、他の生音アンサンブルによる曲とは異彩を放ちながらも、伸びやかでPOPなイイ曲で、大団円というところ。
というわけで本作、ゼネガル各地の様々な伝統音楽をクンバならではの作法で紹介したトータル・アルバムでもあって、その辺、辞書を調べながら是非ブックレットのフランス語解説も読んでいただければ、よりクンバ・ガウロの意図するところが伝わるかと思います(って、自分、ほぼ、まだ、読んでませんが)。まこと、意欲作というにふさわしいアルバムであることは確かで、才色兼備とはよく言ったものです。
01. KHASSENIYA (Tambacounda)
02. BOUGNA (Tambacounda)
03. SIYO (Bundou/Fouta)
04. NA (Kedougou)
05. DIOMBADIO (Kolda)
06. ROKALE (Casamance)
07. NGOULOK (Sine Saloum)
08. SUNU SENEGAL
09. BOROM NDAAM
10. TEKK GUI (Laye Bamba)
11. NABY
12. ALLEZ AFRICA – Bonus track