創造の裏側を記録した“アマリア・ドキュメント”
ファドの女王が生み出した未発表リハーサル音源がついに解禁!
ポルトガルが誇るファドの女王、アマリア・ロドリゲス(192099)。その創作過程を余すところなく記録した貴重なリハーサル音源が、2020年にValentim de Carvalhoから発表された豪華2枚組『アマリア1970 ~ エンサイオス』です。1970年から71年にかけて行われたこれらのセッションは、単なる試行ではなく、作品の核心に迫る探求の記録といえるものです。
タイトルにある「エンサイオ(Ensaio)」とはポルトガル語で「リハーサル」を意味します。その名の通り、本作に収録されているのは彼女の自宅やスタジオで行われたリハーサル・セッションであり、名プロデューサーで作曲家のアレン・ウルマン(Alain Oulman)、ギターラ奏者のジョゼー・フォンテス・ローシャ(Jos Fontes Rocha)と共に、試行錯誤を重ねた創造の過程が刻まれています。
本作の聴き所は、単なるリハーサルの記録ではなく、楽曲の表現を極限まで高めるための試行錯誤が鮮明に記録されている点です。公式には1977年に発表された楽曲「Rosa Vermelha」では、ウルマンとフォンテス・ローシャの伴奏が異なる解釈で試され、テンポやアレンジが何度も変化していく様子が収められています。また、2020年まで未発表だった「Sete Estradas」では、アマリアがスペイン風のメロディを取り入れようと試み、彼女自身の解釈を模索する姿が聞き取れます。1977年に正式発表された「Meu Amor Marinheiro」は、1971年の海外公演でも歌われた象徴的な楽曲であり、フランスやブラジルのテレビでも披露されました。その試行の記録が、このリハーサル音源には生々しく残されています。特にスタジオ録音とは異なる、より自由でダイナミックな表現が魅力といえるでしょう。
加えて、アマリアの創造の核を支えるアレン・ウルマンとのやり取りも聴き逃せません。彼のピアノ伴奏に合わせ、アマリアが歌詞の細部まで練り上げていく過程は、まさに創造の現場を目撃しているかのようです。自宅でのセッションでは、彼女の自然な表情やリラックスした歌唱も楽しめ、スタジオでは見られない一面を垣間見ることができます。
本作は、アマリア・ロドリゲスの創作の裏側に迫る貴重な記録であり、ポルトガル音楽の金字塔を築いた彼女の探求と情熱が詰まった2枚組です。ファドの女王がどのように作品を磨き上げ、歌詞と向き合い、音楽を作り上げていったのかを、心ゆくまで体感できる内容となっています。アマリアを中心としたファド・ファンはもちろんのこと、ポピュラー・ミュージックの創造過程に興味を持つすべての音楽ファンにも注目していただきたい“アマリア・ドキュメント”作品です。
〜メーカーインフォより
●日本語解説/帯付き

CARMINHO / ALMA
V.A. / BIOGRAFIAS DO FADO
MAFALDA ARNAUTH
MARIA ARMANDA / CLÁSSICOS DA RENASCENÇA