M. MASHABI AND HIS KELANA RIA ORCHESTRA / KAFILAH NIGHTS,malay-arabic variations from 1960s indonesia

インドやアラブから伝わった音楽の要素、加えてラテン音楽も吸収しながら、スマトラのメダンやジャカルタで演じられた都会的な混淆音楽 “オルケス・ムラユ” 、その起源は1930年頃ともされますが、オルケス・ムラユ(イラマ・ムラユ、あるいはムラユ・モデルンと呼ばれることもあります)の完成期は60年代、そして70年代のロマ・イラマによるダンドゥットの登場により、オルケス・ムラユの時代は下火になって行きます。
このオルケス・ムラユの発展に最も影響を与えたのは、マレー映画を通してインドネシアの人々に浸透していったマレイシアのPラムリーの音楽ともされています。ラムリーの音楽性を真似たグループが、メダンやジャカルタで多く結成されたそうです。その意味では、オルケス・ムラユの都会的なセンスや、ラテン・リズムをマレイの旋律に反映した折衷感覚など、Pラムリーに倣っている部分もあったでしょう。
ほかにも、19世紀末頃から英国の植民地貿易の中継地、ペナン島に集ったマレー人、インド人、アラブ人、そして中国人ほかで行われた大衆歌謡音楽劇、バンサワンの異文化混成スタイルがオルケス・ムラユに受け継がれているともされます。
そんなマレイ〜インドシナの”多文化共生音楽(by Bunboniさん)”オルケス・ムラユは、インドネシアでは70年代ダンドゥットの温床と理解されています。そして、数あるグループの中でも注目すべき楽団〜多彩な文化が混在したムラユ音楽を、70年代ダンドゥットに橋渡しした重要楽団と目されているのが、このインドネシア現地制作CDとして復刻された M.マシャビ&クラナ・リア だということです。
確かに、本CD収録曲に、両面太鼓クンダンと竹笛スリンが加われば、もしかしたら、ダンドゥットと聴こえないこともないかもしれません。そのクンダンとスリンというコンビネーションを必須項目として、ダンドゥットは成立しましたが、ここで聴くM.マシャビの歌は、フルートとルバーナ、ビブラフォンとオルガンの音色の中、十分にパッションを伝えてくれます。
1941年ジャカルタ生まれ、イエメン系の祖父を持ち、早逝のカリスマ歌手だったというマシャビの、どこか奔放で、少しばかりカスレた歌声がまず魅力的だし、ヴィブラフォン、ピアノ、マンドリン、アコーディオン、フルートやオルガンによる演奏が生み出す都会的なエキゾティシズムは、ダンドゥットにおいて失われた魅力と聴くこともできます。そして、このクラナ・リアにおいて、作曲家、演者それぞれのメンバーが西洋楽器において、インドやラテン、アラブの要素を持ち込む中、それを束ねる歌い手として、マシャビの存在が大きかったことも伝わって来ます。本CDの英文解説では、それが適切かどうか、ちょっと、微妙かも知れませんが、若くして亡くなったM.マシャビのことを、北米ブルースのロバート・ジョンソンに喩えているのでした。

1.Kesunyian Djiwa (Silence Of The Soul) 02:44
2.Untuk Bungamu (For Your Flower) 02:34
3.Harapan Hampa (Empty Hope) 02:50
4.Ratapan Anak Tiri (Lament Of A Stepchild) 02:53
5.Jangan Menggoda (Don’t Tease) 02:13
6.Hilang Tak Berkesan (Disappeared Without A Trace) 02:21
7.Pantun Nasehat (Words Of Wisdom) 03:07
8.Renungkanlah (Think About It) 02:41
9.Peristiwa Lama (Past Incident) 02:05
10.Tudjuan Bersama (Common Goal) 02:47
11.Pesta Tjahaja (Festival of Light) 02:54
12.Jangan Mengharap (Don’t Hold Out Hope) 03:01
13.Seloka Gembira (Joyful Poem) 02:11

>こちらで紹介されていました(無断リンク陳謝&感謝)!

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