田中勝則 著『中村とうよう 音楽評論家の時代』

音楽評論家は20世紀をどう生きたのか?

『ニューミュージック・マガジン』(現在の『ミュージック・マガジン』)と『レコード・コレクターズ』を創刊。
ラテン音楽、フォークからロック、ブルース、ブラック・ミュージック、そしてワールド・ミュージックと、
多彩な音楽に関わり、日本のポピュラー音楽評論の基盤を築き上げた中村とうようの人生を追う。

この本は、単に中村とうようなりポピュラー音楽が熱かった時代を回顧しようと思って書いたわけではない。
中村とうようという男の生涯を追いながら、音楽評論という新しい文化はいったいなんだったのか、
そして彼が一生をかけて語ってきたポピュラー音楽というのはいったいどういう音楽だったのかを、
ひとつひとつ具体的に見つめ直そうと思って書いた。 (まえがきより)

1960年代中頃から20世紀を通じて、日本におけるポピュラー音楽の音楽評論の分野を牽引してきたのが中村とうよう(1932-2011)さんでした。
特に69年に『ニューミュージック・マガジン』を創刊してからは、自身の雑誌という確固たる評論の場を持という、日本独自の評論スタイルを打ち出し、
さらにスケールの大きな活動をしてきました。そんな中村とうようさんの歩みは、戦後になって確立した新しい職業である「音楽評論」という分野の歩みそのものと言えそうです。
この本は、そんな中村とうようさんの生涯を追いながら、日本独自の音楽評論をどのように確立してきたかを追った内容です。
と同時に、日本の戦後において、ポピュラー音楽なるものがどのように浸透していったのか、その過程も克明に知ることができます。
フォークやロックをリアル・タイムに聞いてきた団塊世代にはもちろん、世界中のポピュラー音楽を幅広く聞く現代の若者まで、幅広い世代に読んでいただきたい1冊です。

1 音楽評論家の突然の死
2 京都府峰山町で過ごした少年時代
3 京都大学時代にポピュラー音楽に目覚める
4 さらに音楽にハマった東京での銀行員時代
5 苦しかった下積み時代
6 新人評論家、フォークと格闘する
7 『ニューミュージック・マガジン』編集長時代
8 ブラック・ミュージックへの道
9 燃え広がるブラック・ミュージック
10 『ニューミュージック・マガジン』から『ミュージック・マガジン』へ
11 大衆音楽の真実が見えてきた
12 ワールド・ミュージックへの道
13 「名誉会長」になっても続く制作意欲
14 20世紀のポピュラー音楽を総括
15 透徹した音楽観に辿りついた晩年
16 武蔵野美術大学での最後の仕事

◆ 著者について
田中勝則(たなかかつのり)
1959年、東京都生まれ。慶応大学中退。
1981年に『ニューミュージック・マガジン』で評論家デビュー。85年からブラジルで伝統的なサンバ音楽たちの録音をプロデュース。
本国をはじめ、アメリカやフランスなどでも発売されて好評を得る。また90年前後からはインドネシアなどアジアの音楽もプロデュース。
評論家としてもワールド・ミュージックの記事やレコード解説を幅広く執筆。
97年からは自身のレーベルであるライス・レコードを立ち上げて、ワールド関係の最先端音源をリリースする一方、新録とSP復刻の両分野で自社制作盤を発表。
2013年からはフリーに戻って、武蔵野美術大学で中村とうよう展を企画・制作する一方、幅広く執筆活動とCD制作を手がけている。
(以上、版元インフォより)

 

 

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