DILEK KOC / SOUVUNIR DE SALONIQUE


delek-koc2015タイトルは『サローニキの思い出』とでも、サローニキ(もしくはサローニカ)といえば、ギリシャ第2の都市、テッサロニキのこと。アテネと同じく港湾都市で、ビザンティン帝国、オスマン・トルコ時代はコンスタンティノープル(現イスタンブール)に次ぐ都市だったそうです。ま、そんな歴史ある街にイスタンブールの音楽大学を卒業し2005年に移住したトルコ人女性歌手、ディレク・コチェのセカンド・アルバムが本作(トルコ&ギリシャで同時発売)。11年のファーストはギリシャ伝統派ヴェテラン女性歌手、グリケリアのプロデュースになるアルバムでしたが、今作でも3曲でゲストとしてグリケリアは歌っています。そんなグリケリアへの信頼が示す通り、ディレクの音楽の重要なベクトルのひとつは、ギリシャ音楽の伝統への共感にありますが、前作に較べ、トルコ語のレパートリーが増えているところに注目するなら(13曲中6曲)、より積極的にトルコとギリシャが共有しうる音楽領域の中へと、言葉の壁を越え、トルコ人としてより自然体で分け入っているような印象を与える本作。バックはすべてギリシャ人ミュージシャンから成っていますが、それでもトルコのマーケットに十分通用するアルバムであることは、ディレクの歌声を聴けば納得できようというもの。ことに、グリケリアも歌うアマーン・ソングほかイズミール発祥の歌曲の並びは、トルコにもギリシャにも通じる世界観であることは確かでしょう。ともあれ、音楽的には多くの共通感覚を持ちながら、ある意味、日韓以上に仲の悪い隣人同士、トルコとギリシャに通底する音楽的伝統に寄り沿い、東地中海の詩情を歌い上げるディレク・コチェ、目が離せませんネ!

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