V.A. / MEDITERRANEAN GROOVES AND RAW SOUNDS

rawsounds2012年、世界で最も音楽が熱いのはイスラエルだ! 2012年9月に初来日を果たしたイスラエルを代表するサーフィンギターバンドBoom Pamも所属するAudio Montageレーベルの2011年コンピ盤。全18組20曲、Boom Pam以外は日本では全くの無名のアーティストばかりなのに全くハズレがないのがスゴイ!

■youtubeにアップされている素人の音楽演奏映像を数百も集めて、自分の好みのパートだけを繋いで、全く新しい一曲にしてしまうKutiman。
■当店にも既に入荷している、「イスラエルの在日ファンク」ことUzi Navon & Acquaintances。
■もはやアメリカ人にも作れないようなロウファイなブルーズを作り続けるRamirez Brothersとその片割れUzi Ramirez。
■クレズマー〜バルカン〜ブラジルまでお祭り大好きブラス&リズムセクション15人組Marsh Dondurma。
■ギター一本弾き語りのオーガニックソウル女性SSW、Karolona。
■イスラエルを代表するP-Funkグループ Funk’N’Stein。
■9人組インストジャズファンクバンド The Apples。
■70年代〜80年代に活躍したミズラヒー・R&Rバンド Lehakat Tzliley Ha’oud。
■そして、それらのサウンド・エンジニアリングを一手に引き受け、独特のロウファイなサウンドに仕上げてしまうUzi Mixmonster(Radio Trip)。
これらの才能がテルアヴィヴというたった70万人の都市に蠢いているとはまったくどういうことなんだろう? サラーム的には10年前にイスタンブルのアンダーグラウンド音楽シーンやボリウッド音楽を発見した時と同様の驚きです。イスラエルのアンダーグランド、当店でもこれから掘っていきます!

いつの時代のどこの音楽? 一聴して「イスラエル!」と即答できる人はいないのでは?
それほど多国籍&無国籍&タイムレス! ベリーダンサーやDJに人気のバルカン・ビート・ボックスや、サーフ・ギター・ロック・トリオのブーム・パムをはじめとするイスラエルのアンダーグラウンド・シーンで活躍する全18組20曲を収録したコンピ盤「Mediterranean Grooves & Raw Sounds」ついに日本盤発売! 中東の要素を取り入れたダブやヒップホップから、ヴィンテージな味わいのジャズ・ファンクや本気のP-Funk楽団、70’sサイケデリック・ロック風のギリシャ歌謡、哀愁の東欧旋律を奏でるチンドン系お祭りブラスバンド、もはやアメリカ人にも作れないほどロウファイでいびつなブルース、などなど、恐るべき個性派たちばかりがつまってる! 総人口たった800万人の小国の音楽シーンがこれほど充実しているとは一体どういうことだ? しかも、それが海外にほとんど伝わっていないとは?
(サラーム海上)

ただごとではないテルアビブの音楽シーン、このCDを聴けば瞬時にわかる。
演奏スタイル、録音、ニュアンス、世界で最もややこしい地域が発する全くブレない充実の響き。
(久保田麻琴)

1 Boom Pam / Sabale
2 BTA Vs. UBK / Hijazz Chaser (UBK Remix)
3 Kutiman / Losing It
4 Radio Trip / Computers Singing (Alfomega Mix By Markey Funk)
5 The Apples / Thang
6 The Koliphones / Voyage Into The Sun
7 Les Hippies / Soleil Couchant
8 Uzi Navon & Acquaintances / Lo Avater Al Atzmi (I Shall Not Give Up On Myself)
9 The Ramirez Brothers / Cactus
10 Soulico / Today’s Funk
11 Yoram Arbel / Tni Li Hizdamnut = Give Me A Chance
12 Funk’n’Stein / Back Road Funk
13 Marsh Dondurma / Tosha Baritosha (Edit)
14 Boom Pam Vs, Radio Trip / Hashish
15 Lehakat Tzliley Ha’oud / Pop-Oud Melody
16 Shmemel / Apple Sauce
17 Uzi Ramirez / Girl Don’t Lie
18 B&B / Say What?! (Edit)
19 Karolina / Shuv Im Atzmi (Extended Version)
20 Audio Montage All-Stars / Glitch Hope

【アーティスト解説】

1 Sabale / Boom Pam
ブーム・パムはテルアビブ南部の港町ジャッファ(ヤッフォ)を拠点に活動するサーフ・ギター・バンド。かつてBBBにも参加していたギタリストのウリ・ブラウネル・キンロト(以降「UBK」)を中心にチューバ、ドラムスというトリオ編成で、サーフ・ロックにギリシャ、バルカン、中東音楽をミックスした音楽性でパーティーを盛り上げる。このCDと同時に彼らの2010年のサード・アルバム「アラカザム」が日本盤リリースされる。

2 Hijazz Chaser Remix / BTA Vs. UBK
BTAはUBKとともにBBBに参加していたサックス奏者エヤル・タルムディが、アラブ古典音楽を学んだベーシスト、ラテン音楽を学んだパーカッショニストと結成した、アラブ&バルカンお祭り音楽トリオ。ここではUBKによる彼らの曲のリミックスを収録。

3 Losing It (Featuring Karolina) / Kutiman
クティマンはYouTubeにアップされている素人やプロの音楽演奏映像を素材として、マッシュアップし、全く新しい一曲にしてしまうオーディオ&ビジュアル・ヒップホップ・アーティスト。10月に全世界公開された最新作「Thru Tokyo」は2012年夏の東京滞在時に収録され、HIFANAや明和電機、鎮座DOPENESSらが参加。

4 Computers Singing (Alfomega Remix) / Radio Trip
レディオ・トリップは現在のイスラエルのシーンを支えるサウンド・エンジニアで、宮古島のバンドBlack Waxの最新作「バンガムリ」のミックスを行ったことでも注目された、ウリ”ミックスモンスター”ウェルトハイム(以後「ミックスモンスター」)が、ターンテーブリストのオフェル”スクールマスター”タルと組んだユニット。ジャズやファンクのDJ的なミクスチャー。

5 Thang / The Apples
ジ・アップルズは四人のホーンズ隊にドラムス&ベース、二人のDJにダブ・エンジニアを含む9人編成のジャズ・ファンク・バンド。レディオ・トリップの二人もメンバー。ホーンを中心にした70年代的なジャズ・ファンクでありながら、時折り顔を覗かせるアラビックなフレーズがイスラエルならでは。

6 Voyage To The Sun / The Koliphones
ザ・コリフォーンズはクティマンがモーグ・シンセ奏者と組んだユニット。エンジニアにはミックスモンスター。レアグルーブ的なファンキー・ドラムスを叩いているのはクティマン。彼はPCを操るだけでなく、自宅スタジオにありとあらゆる楽器を揃え、一人で全て演奏してしまうマルチ楽器演奏家でもある。

7 Soleil Couchant / Les Hippies
レ・ヒッピーズはDJとしても活躍するマーキー・ファンクを中心とした不定形ユニット。シタールをフィーチャーした60年代末のラーガ・ロックを彷彿させるブレイクビーツを収録。

8 Lo Avater Al Atzmi / Uzi Navon And Acquaintances
ウジ・ナヴォン&アクウェインタンセズは60’sソウル・マナーのサウンドに、いかにもモテなさそうなのびた君キャラのウジ・ナヴォンがヴォーカルを務める大所帯バンド。「イスラエルの在日ファンク」か?

9 Cactus / Ramírez Brothers
ラミレズ・ブラザーズはブーム・パムの元中心人物でギタリスト/シンガーソングライターのウジ・フェイネルマンがドラマー、トランペット奏者と結成した新バンド。メンバー全員がラミレズ姓を名乗り、ロウファイなアメリカーナ音楽を作り続けている。ミックスはミックスモンスター。

10 Today’s Funk / Soulico
これまたファンキーな70’sグルーヴを打ち出しているのがシンセ、ギター、ベース、パーカッションの四人組ソウリコ。BBBを見いだしたNYのユダヤ音楽レーベルから初アルバムをリリースし、辺境エレクトロのトップDJ、ディプロのレーベルからもリミックス集をリリースするなど、国際的な活動が期待出来そうだ。

11 Tni Li Hizdamnut / Yoram Arbel
このコンピ盤には1970年代のアーティストが二組だけ収録されている。ヨーラム・アルベルは70年代にイスラエル初の「イェイェ」または「モッズ」と目された男性歌手で、現在でもテレビ番組の司会者として知名度が高い。このコンピ盤発売後、彼はエルサレムで開かれた音楽フェスに登場し、ジ・アップルズと共演を果たしている。

12 Back Road Funk / Funk’n’stein
パーラメントの名作アルバム「Clones of Dr Funkenstein」から名付けられたと思われる8人組「ファンクンスタイン」は圧巻のステージで、イスラエルを代表するP-ファンク・グループとして人気が高い。収録曲にはアフロビートからの影響も強い。公式サイトには各メンバーのキャラクター設定が事細かに書かれているのもP-ファンク的。

13 Tosha Baritosha (Edit) / Marsh Dondurma
マーシュ・ドンドルマはクレズマー~バルカン音楽などのユダヤ系お祭り音楽をアフロ・ブラジリアンなリズムに詰め込んだブラス&リズムセクション15人組。世界一のブラスバンドを競うセルビアはグチャのトランペット・サミットにもゲスト出場している。「イスラエルの渋さ知らズ」?

14 Hashish / Boom Pam Vs. Radio Trip
ブーム・パムの初アルバム収録曲をレディオ・トリップの二人が完全に解体し、全く新しい曲として再構築した曲「ハシシ」。バンド初の大ヒット曲となり、現在では全世界のベリーダンサーたちにも愛されている。

15 Ne’imat Pop Oud / Lehakat Tzliley Ha’Oud
レハカト・ツリレイ・ハウード、70年代のアーティストもう一組は70年代~80年代に活躍したミズラヒー(アラブ音楽やギリシャ音楽から影響を受けたイスラエルの音楽。1980年代までは移民の同化政策に反するとされ、公共放送などから閉め出されていた)・ロックンロール・バンド。ドタバタしたドラムスとファズギターによるアラビックなリフがシビレるこの曲は知られざる中東ロックの最高峰。ブーム・パムが最新ミニアルバム「Manara & Summer Singles」でカヴァーしている。

16 Apple Sauce (Edit) / Shmemel
70年代の曲と続いても全く違和感ないのが9人組クレズマー(東欧起源のユダヤ音楽)・ファンク楽団シュメメル。四人のホーンセクションと二本のギターをフィーチャーし、一世紀前のクレズマー音楽のようなメロディーも印象的。エンジニアにはミックスモンスター。

17 Girl Don’t Lie / Uzi Ramirez
元ブーム・パム、現ラミレズ・ブラザーズのウジのソロ。アメリカ本国でも出てこないようなロウファイでひしゃげたブルースやロックンロールを作り続けている。

18 Say What?! (Edit) / B&B
B&Bはやはり三本のホーンをフィーチャーした6人組インスト・ジャム・バンド。グループ名は「ベース&ブラス」を意味する。

19 Shuv Im Atzmi (Extended Version) / Karolina
「イスラエルのUA」? カロリーナはギターを弾き語るオーガニックソウル系シンガーソングライター。アルバム毎にプロデューサーを変え、サウンドを更新してきた。最新作「Zohar」はブーム・パムのUBKが全編プロデュースし、「ネオ・ミズラヒー」と呼ばれ、大ヒットした。ブーム・パムの最新作「Manara & Summer Singles」に一曲参加し、レッド・ツェッペリンの名曲「ブラック・ドッグ」のカヴァーを披露している。

20 Glitch Hope / Audio Montage All-Stars
最後はこのCDのレーベルであるオーディオ・モンタージュのオールスター、レ・ヒッピーズやレディオ・トリップ、ラミレズ・ブラザーズらが勢揃いしたユニットだ。ロウファイなグリッチ音が不思議と腰にクるビートを生み出している。

(文・サラーム海上/ライナーノーツより抜粋)
*TUFF BEATS 国内配給盤品切れ

go top