LILI BONICHE / ANTHOLOGIE

lili-bonish12リリ・ボニッシュは1921年、アルジェリアの首都アルジェの旧市街カスバ生まれたユダヤ系音楽一家の息子でした。~なんと10歳にして楽団に入り、マンドーラを弾くようになり、その後、15歳にはラジオに自ら売り込み、みごと採用され、彼の声は毎週、電波にのってアルジェリア全土に届けられることとなりました。先の大戦中には仏軍や米軍がアルジェリアに駐在するようになり、彼らが好んだタンゴやマンボといった新たなダンス・リズムが流入すると、リリも貪欲にそれらを取り入れ、独自の音楽を展開~戦後にはそんな音楽を引っさげパリに移り、大きな人気を得たそうです。その後はしばらく忘れられた存在でしたが、90年代に入ると、熱心なリリのファンが彼を「再発見」~1999年には新作も発表(本CDにもそこから3曲収録)、こちらが話題になり来日も果たしました。そして人気者としての晩年を過ごし、08年に87歳で亡くなりました。そんなリリのアンソロジーがこちら。全盛期だった50年代後半から60年代初頭までの録音を中心に編集されて、しかも15曲中7曲が未複刻曲!アラブ、シャアビ、ラテン、シャンソン、ジャズ、ユダヤ歌謡などがゴタマゼの折衷感覚で混在するその楽曲&歌声は、まさに唯一無二!とにかくお洒落!なお、以前、仏メロディー社からリリースされたベストとは3曲のみの重複です。