パッと見、70年代初め? ヘルス・エンジェルス後ろ乗りゴーゴー・ガールズ、郊外アジトで踊るの図、という感じのジャケですが、全く違います。
レ・プーフ・ア・コルドゥ〜仏オクシタニアの女性二人、ヴァイオリン&チェロを弾き、そしてそれぞれに歌うノエリー・ニウル&クレメンス・コニェのデュオによる2019年リリースのセカンドCD(ファーストは14年だそう)初入荷です。…もちろん、ホットディスクさんのツイートを目にしての入荷ということになります。
ところで、フランスでは人口の40%を占めるというオック語話者の住まう地域をオクシタニアと呼ぶので、特にトゥールーズとかマルセイユとか、南端ばかりがオクシタニアではなくて、本作でレ・プーフ・ア・コルドゥが演じているのはフランス中部の山岳地帯、リムーザン地方やオーヴェルニュ地方のオック語圏伝承曲(先人により録音された曲〜ジャケ裏曲名表記ごとに過去の演奏家 / 音楽家の名前が表記されています)ということになります。当店的には、今まで、あまり入荷したことのない方面の音楽ということにもなるわけですね。
で、なるほど、面白いですねえ、そして仰せの通り、中毒性が高い。欧州のトラッドということで、もちろん大陸ケルトっぽい雰囲気も感じられますが(スコットランドの曲も演っているようです)、プロト・マズルカ風?というか、 古いムニュエというかコントルダンスというか、あるいは北欧のハルダンゲル・フィドル&ヴィオラ・スタイルを連想させるような曲もあったり、ま、正直、自分にはよくわかりませんけど、実に野趣満点、欧州深奥風情に満ちた演奏を、時に爽やかに、時にディープに楽しませてくれるアルバムです。
加えて、その、即興性も感じられる擦弦重奏(with 曲により足踏みリズム)には、どこかエクスペリメンタル or アンビエントなムードが微かに漂っているような気も…。ま、それは気のせいかも知れませんが、同じようなフレイズとそのヴァリエーションの反復が “トラッド” のイメージを越えて聞こえて来る瞬間があるのも確かです。というか、イメージとしての “トラッド” は演じてはいない、ということになるんでしょうね…。
そして、全16曲中4曲だけですが、二人が歌っているトラックが、また実にイイ!バラッド風、ララバイ風、アカペラ(洗濯ものでも干しているような雰囲気で)など、本人達はたぶん余芸みたいに考えているんじゃないかと察っせられますが、その歌声、どうぞ一杯と、インスト曲の合間に出されるリンゴ酒みたいに? 実にイイんですね、コレが !!
1.La Craba 04:01
2.Suite de Scottishs 03:14
3.Marche de noces 03:55
4.Suite de bourrées coulées 02:27
5.Alcione / Albione 04:51
6.Passa aquí, les lépreux 01:26
7.Suite de sautières 02:13
8.Bourrée d’après Pierre Tourret / La Liquière 02:20
9.La mer coulante / Rossignolet sauvage 07:25
10.Lo jau negre 03:25
11.Passa aquí, Saint Avit 01:15
12.Bourrées 02:21
13.Polka de Pierre L’ferblantier 01:39
14.Passa aquí, La Craba 01:20
15.Suite de Bourrées 03:36
16.De Paris à Montauban 02:29
Noëllie Nioulou (violon, violoncelle, chant)
Clémence Cognet (violon, chant)