■奄美大島北部・笠利(カサン)唄を代表する女性唄者の最高傑作。
2003年にリリースされ、好評を博していた松山美枝子のカサン唄集『あやまるのうた』がジャケットも新たにリマスターされ、3曲のボーナス・トラックを加えて発売の運びとなりました。
松山美枝子は奄美大島北部の笠利町須野の生まれ。母親が歌うシマ唄を幼い頃から聞いて育ちましたが、自ら歌うことはありませんでした。ところが29歳のとき、同じ笠利町出身の唄者・上村藤江のシマ唄をカセットテープで聴いて衝撃を受け、その日からシマ唄を歌うようになります。そして神戸に住む上村藤江のもとに通い、彼女を師と仰いでシマ唄の手ほどきを受けました。奄美のシマ唄は大島南部の東(ヒギャ)唄と北部の笠利(カサン)唄に大別され、ヒギャ唄はリズミカルで変化に富んだ旋律が多く、カサン唄は荘重でゆったりした歌が多いという特徴を持っていますが、松山美枝子の節回しはカサン唄の中でも特にコブシが強く、歌声も太く響くのが特徴。そのスタイルは既に師匠である上村藤江の域を脱して松山美枝子ならではのものとなっています。
また本作では③⑬で森沢信弘(86歳)が、⑧⑮で泊重則(77歳)がそれぞれ独特の節まわしを持つカサン唄を披露しています。森沢信弘は戦前の節回しを歌い継ぐ貴重な唄者。表舞台には出ない”隠れ唄者”として長くシマ唄を歌い続けてきましたが、このレコーディングを通して一般に知られるようになり、現在も最年長の現役唄者として活躍しています。もう一人、泊重則は笠利地方の中でも最もディープな唄が継承されている佐仁(さん)出身の唄者。二人とも三線の指使いやバチ使い、言葉の発音などにおいて、一昔前の本物のスタイルを打ち出しており貴重な存在といえます。
松山美枝子 プロフィール 奄美大島北部の笠利町須野出身。シマ唄や八月踊りなど奄美の伝統行事に囲まれた環境で育つ。29歳のとき、笠利出身で尼崎に住んでいた唄者・上村藤江のシマ唄をカセットテープで聞いて衝撃を受け、上村を師と仰いで奄美北部のカサン唄を習得した。昭和50年代に入って南海日々新聞社主催の「奄美民謡大賞」大会に出場、数多くの優秀賞を受賞。平成11年に行なわれた「奄美民謡大賞」大会で最高賞の大賞を受賞した。現在、奄美大島・名瀬で割烹「吟亭」を経営しながらシマ唄を歌い続けている。
1. あさばな節
2. ヨー加那節
3. 俊良主節
4. 請くま慢女節
5. 嘉徳なべ加那節
6. うらとみ(八月踊り唄)
7. うらとみ
8. ヨー加那くずし
9. よいすら節
10. てんなご節
11. 儀志直節
12. イェトゥ
13. 長雲節
14. あさばな節*
15. あさばな節*
16. まんこい節*
*印はボーナストラック