“マリ音楽の生き字引”とまで称された音楽家ザニ・ジャバテが脳疾患のため2011年1月に亡くなってしまいました。グリオーの名門一族に生まれた彼は伝統楽器の演奏を早くから修得し、16歳にはマリ国立バレエ団に入団。さらにマリで初めてのプライヴェート・オーケストラとなるジャタ・バンドを結成するに至ったパイオニアの一人です。以後マリ音楽をリードする存在として活躍してきた彼が、亡くなる直前まで取り組んでいたのがこのアルバムの制作でした。マンディング音楽やワスル音楽、さらに砂漠のブルースといったマリに息づく様々な音楽の要素を取り入れたそのサウンドは、まさに現代マリ音楽の集大成ともいうべきもの。伝統的でありながらしっかりと現代性も感じさせるラスト・レコーディングです。