リオのカーニヴァルの主役を務めるエスコーラ・ジ・サンバ。その歴史は1920年代後半にはじまります。このアルバムは、そんなエスコーラ・ジ・サンバの創生期を知る古老たちの歌声を、まだ彼らが存命していた70年代に録音した名作LPシリーズ。それを4枚組ボックスにまとめたのですから、まさに伝統サンバのエッセンスを凝縮した内容と言っていいでしょう。マンゲイラ篇ではカルトーラやカルロス・カシャーサ、ネルソン・サルジェントら、おなじみの重鎮たちが登場。いぶし銀の歌声をじっくり楽しませます。さらにすばらしいのがポルテーラ篇で、名手マルサールらリズム隊も参加し、いまは亡きポルテーラ全盛期をけん引した長老たちが溌剌とした歌声を聞かせます。フランシスコ・サンターナ、マナセーア、アルヴァイアージ…。みんなもともとヴェーリャ・グァルダ・ダ・ポルテーラのメンバーでした。インペリオ篇、サルゲイロ篇は、エスコーラの創立が少し後なので、マンゲイラやポルテーラに比べると、やや年が若くなりますが、それでも立派にお爺ちゃんたちです。いまも健在なイヴォーニ・ララ、その先輩だったメストリ・フレイロなどなど、伝説のサンビスタたちのナマの歌声を楽しめるのですから、たまりません。エスコーラ系の古老サンビスタが残したすべての録音の中で、これほどナマナマしい歌と演奏を楽しめるシリーズは他にありません。すべてのサンバ好きに聞いていただきたいボックス・アルバムです。