ペルシャ音楽の重要擦絃楽器ケマンチェの演奏がたっぷり楽しめるアルバムです。
イランでは、ガージャール朝時代だった1905年から録音が開始され、1926年頃(ガージャール朝滅亡翌年)まで盛んにレコーディングが行われていたそうです。その時代にケマンチェを中心に録音された音源を使って編集されたのが、本アルバムです。
バケール・カーン(Bâque Khàn)とホセイン・カーン・エスマイルザーデ(Hoseyn Khàn Esmâ ‘ilzIadeh)という当時の名手の録音を収録。ケマンチェは、4本の弦からなる単純な構造の擦絃楽器ですが、その乾いた音色で表情豊かにペルシャの旋律が奏でられます。ケマンチェの他にはタールと2人の名歌手エクバル・アザールとサイード・アーメド・カーンが、曲により見事なタハリールを含んだ歌唱を聞かせてくれています。
<以下、レーベルのホームページの解説文の抄訳>
9世紀から10世紀に活躍したイスラムの偉大な哲学者/科学者/音楽家のファーラービーは、著作『音楽の書』の中で擦絃楽器を代表するケマンチェ(ラバーブという名称)についてすでに記述しています。しかし、その中で「弓を用いて演奏する」と明記していないため、多くの学者がケマンチェは弓を使わないと考える根拠になっています。ところがその記述はケマンチェと完全に一致しており、Raba-e Sha’er、Rabab-e Mesri、Rabab-e Torkiの3種類に分けられています。数世紀後にAbdulqader Maraqe’iが2冊の著作の中でその詳細を示し、Ruhollah Khaleqiはケマンチェは東半球で最も古い楽器の1つであるとしている。また、Albert Lavignacは著作『音楽と音楽家』の中で世界で最も古い擦絃楽器であると書いており、中国の楽器Khaleqiがイランの前イスラム文化におけるケマンチェの源流であったのではないかとも書かれています。サファヴィー朝(16-18世紀)の Chehelsotunの大ホールのフレスコ画に弓を用いてケマンチェを演奏する人の姿が描かれており、それは現存する最も古い図です。ケマンチェを演奏する音楽家達はヴァイオリンに親しんだ後にこの楽器にも4本目の弦を張りました。ケマンチェはイラン各地の地方音楽に多く用いられ、民俗的な楽器の場合は3弦のものがしばしば見受けられます。
〜サプライヤーインフォより
Kamancheh : Hoseyn Khan Esmailzadeh , Baqer Khan Rameshgar
Vocals : Seyyed Ahmad Khan , Eqbal Azar
〜サプライヤーインフォより