瞽女(ごぜ)とは越後(現在の新潟県)を拠点に、在処在処にうたを運んだ盲目の女性芸能者たちのことだ。瞽女は目明きの手引きを含む数人で組をつくり、峠を越え、雪をかき分け、有縁の村々、家々をたずね、自らのうたを生活の糧に替えるのである。戦前、娯楽が乏しかった庶民にとって、その折々のはやり唄を運んでくる瞽女の存在は、実に輝かしいものであった。瞽女が越後を拠点にうたい継ぎ語り続けたうた芸は、やがて無数の庶民、その人口に膾炙して北は北海道から南は九州・沖縄まで全国津々浦々に広がるのである。日本の芸能を考えるとき、瞽女うたは芸能のマザーランドであり、日本のルーツ・ミュージックと呼ぶにふさわしいものである。日本の音曲のルーツを形成しながらも歴史の暗闇に葬り去られようとしている瞽女うた。やがて滅びゆこうとしている芸に新たに照明を当てるべく、瞽女うた黄金期の一端をつたえる貴重音源で構成。まさに20世紀最後にして空前絶後のアルバムの登場と言えよう。
1. 門付け唄 岩室 / 加藤イサ、金子セキ、中静ミサオ
2. 門付け / 金子セキ、中静ミサオ
3. 鹿児島小原節 / 加藤イサ、金子セキ、中静ミサオ
4. 万歳 / 金子セキ、中静ミサオ
5. 祭文松坂 小栗判官 / 中静ミサオ
6. 祭文松坂 白井権八 (山中段九郎) / 加藤イサ
7. 祭文松坂 小栗判官 / 渡辺キク
8. 祭文松坂 八百屋お七 / 鷲沢ミス
9. 祭文松坂 佐倉宗五郎 / 山本ゴイ