TANIA SALEH / INTERSECTION

レバノンの女性SSW、タニア・サレー、これが6作目になるかと思います。いわゆるアラブ歌謡のPOP路線とも違うし、あるいはヤスミン・ハムダンのようなインディー / アンダーグラウンドなシーンから出てきた新世代のSSWとも違います。も、ちょっとアーティスティックな指向というべきでしょうか? その歌は古いアラブの定型詩にインスピレーションを受けているということですが、アラブの政治状況や、宗派間の紛争、そしてイスラム原理主義などなど、様々な明暗をもたらす考えの違いに対して、音楽的にコミットする道を模索しているように感じます。とはいえ、あくまで音楽的に、定型の現行アラブPOPから離れ、もしくは若い層にだけ通用する世代的な共有意識からも離れ、レバノン人音楽家として、ある種コスモポリットな立ち位置を模索している、とでも言えるでしょうか…。そんな方向性が、ノルウェーのレーベル、KIRKELIG KULTURVERKSTED (なんて読むのか、わかりませんが)のカラーに合致したということでしょう。
いかにも北欧レーベル・メイドの繊細なミクスチュアー、フォーク、ロック、ジャズ、ボサノバ、そしてエレクトロな音感などを溶け合わせたトラックの中、それでもレバノンの女性歌手の系譜〜フェイルーズからマジダ・エル・ルーミーあたりへの流れに沿った歌心も聞かせてくれるところ、当店界隈の皆さんにもオススメできるかも、と。

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