そのグループ名の “タキム” は中東の古典的器楽演奏スタイル、”タクシーム”から来ているんだと思います。ウード、カヌーン、クラリネット、ヴァイオリン、打楽器にベース、うち2人は歌も兼ね、加えてリード・ヴォーカルが一人という7人組です。2001年に結成されたらしいんですが、一時活動停止、5年間のブランクを経て2010年に活動再開したそうです(ということは、たぶん、セッション・ミュージシャン達のユニットなんでしょう)。で、本作がセカンド・アルバムとなるらしいんですが、ファーストは既に入手困難?
とにかく際立っているのは、古典旋法マカームに沿った端正なアンサンブル演奏、一聴してそれはトルコの楽団としか聞こえません、が、そこに10人のゲスト歌手も参加し、曲ごとに、あるいは一曲の中でも代わる代わるギリシャ語の歌を聞かせて、そこで初めて、あ、ギリシャの楽団だったのか、と知ることになるくらい、かなり本格的な中東古典音楽ぶり。で、そのゲストの歌い手の一人には、女王ハリス・アレクシーウも参加していて、いつにもなくその古風な歌い口は、いにしえの小アジアはかくありという雰囲気を彷彿とさせてくれるでしょう。
スミルナ(イズミール)由来の曲だけでなく、イオニア海に面したイピロスから中東バルカンへと伸びるオスマントルコ繋がり、果てまた地中海対岸のアレクサンドリアへと伸びて行くアラブへの眼差し、そうした伝統の探索にも通じる曲の並びが実にスリリングで、いにしえのギリシャ音楽の成り立ちを幻視させてくれるような作とでも。なんか、もう、ファンタジー(?)の域に達しているのかも知れませんが、音としてはリアルです。聴き応えあります。
以下、どういう経緯からなのか、タキム客演のキャレキシコ・セッション。〜とりあえず、タキムのマネージャー氏は是非日本にも行きたいと。どなたか、呼びたいという方はいませんか!もしいらしゃったら当方へご連絡下さい。マネージャー氏へつなぎます。