タイの男性SSW(ウクレレ弾き語り)、シントー・ナムチョーク2018年の6作目、ということです。2011年デビュー、2016年作は日本盤でもリリース、来日もしていたようですが、全然知りませんでした。ひとことで言えば、東南アジア熱帯オーガニックなシティPOP / もしくはサーフミュージックとでも言えそうですが、“タイのジャック・ジョンソン”と呼ばれているそう…(ジャック・ジョンソンって誰?ということにもなりますが、オアフ島出身の男性SSWライターで、フジロックにも2回来日しているそうですが、当方寡聞にして知りませんでした…)。
で、タイCD、リリース量が激減する中(かなり高価ですが)、この人のCDはキチンと毎年のようにリリースされているので、どんなものかと YOUTUBE で聴いてみると、実に夏向き、気持ちイイじゃないですか!嫌みなく自然体で、ジャケも実に夏っぽい。本人自ら、自分の音楽を形容するなら 、それは “フィールグッド・ミュージックだ” みたいな発言もあって、ま、嘘じゃないですね、と納得できたので試しに仕入れてみた次第。いかがなものでしょう…。ちなみに1983年生まれだそうですから、この新譜は35歳の作ということに。
その後、タイ CITY POP 路線から大変身!
▼ なかなかできることじゃないですよー、って、CD出てませんが….
以下蛇足ですが、「インドネシアVSタイ、シティPOP対決」というお題で、当方担当のラジオ小コーナーでナムチョックを紹介した際の台本から…
いつもはその国の音楽をピックアップしてお送りしていますが、きょうは趣向を変えて、2つの国の音楽を聞き比べたいと思います。
1980年代に流行した都会派ポップスをシティPOPやAORと呼びます。日本ですと山下達郎が代表格で、アメリカではボズ・スキャッグスとかケニー・ランキンあたりでしょう。実は今、このシティPOPがアジア全域、特に日本のそれが、インドネシアやタイで静かに流行しつつあることは、最近よく話題になります。
聞いた話によるとインドネシア、ジャワ島西部の都市、バンドンには山下達郎さんのアナログレコードやCDしか置いていない専門店があるそうです。
自分もレコードやCDを扱う店をやっていて感じることですが、トルコや韓国、あるいはヨーロッパからいらしたお客さんが、山下達郎さんをはじめ80年代のシティPOPを探していることに、ちょっとビックリさせられました。
それでは、静かに流行しつつあるという、インドネシアとタイのシティPOPを聞き比べていきます。近年、おもしろく聞けたアーティストを2組、紹介します。まずはタイのシティPOPです。人気シンガーソングライター、シントー・ナムチョークの去年発表された6枚目のアルバムから「ウィル・ユー・マリー・ミー」
「ぼくと結婚しない?」というベタな英語タイトルの曲でしたが、歌っている言葉はタイ語です。なんだか英語のPOPミュージックのように聞けますね。都会的で80年代の雰囲気がありながら今活躍する、シントー・ナムチョーク自身の美意識が反映されている曲ということになります。
「ぼくは君を大切にするよ、最愛の人。心をこめて、ボクは変わらない。同じことを言い続けるよ。同じことを想い続ける、本心を知らせなきゃ」みたいなことをシンプルに軽いタッチでミディアムなリズムに乗せて歌ってました。
シントー・ナムチョークは現在35歳。日本でも2回公演を行っているからか、すでに日本でも人気の高いアーティストです。この曲の季節感を表現するならやっぱり夏、海辺で聴きたい曲ですね。
今度はインドネシアのシティPOPアーティストを紹介します。アーティスト名はモンド・ガスカロ。
2016年発表のファースト・ソロアルバムから、曲名は「ネイキッド」。
アーティストはモンド・ガスカロです。
こちらも広々とした場所で聴きたいような、波の音で始まる、海を感じさせる曲でした。曲名も英語の「ネイキッド」。「裸」とか「ありのまま」ということですね。オーガニックで奥行きのある演奏、伸び上がるようなトランペットの演奏が印象的だったのは、1曲目のシントー・ナムチョックと同じですね。
「砂の上を時間が漂い過ぎていく、波が遠くの海からやって来る、悠々と僕たちがたどり着いたこの海岸にそっと、口づけする」といった歌詞です。ゆったりとやや高音域の繊細な歌声、まさしく波が寄せては返すように、フォークっぽいタッチで歌っていました。
モンド・ガスカロはインドネシアの首都、ジャカルタ生まれの43歳。お母さんは日本人、お父さんがインドネシア人です。30代の初めごろから映画音楽の作曲家として活躍し、プロデューサーとしても、多くのバンドのレコーディングを手がけてきたそうです。その後のバンドでアルバムを発表し、43歳でソロデビューしました。
国は違えど、2曲とも兄弟みたいによく似た曲ですよね。そういう意味では、自分としては勝ち負けなしの2曲です。確かに30年以上前のシティPOPの影響を受けていましたが、使っているシンセサイザーの音色など今時の音楽にもなっていましたね。