● モンゴル系の音楽といえば、数度の来日を果たし、フジ・ロック・フェスティバル、朝霧ジャムなどでロック・ファンの度肝を抜いたハンガイのように、勇壮で 放胆なイメージとホーミー(喉歌)の独特の響きがまず思い浮かびますが、本作はそのイメージとは対照的に純朴で飾らない、遊牧の民の生活そのものに浸透す る歌を聴くことができます。女声ならではの優しく暖かい歌の数々は同じモンゴロイドである私たち日本人にとってもどこか懐かしく、ノスタルジックな響きを もって自然に染みこんでくるように感じます。
●「モンゴルの人はみな、詩と歌なしには表現できない感情を持っています。草原の草を踏んでいても、 故国から遠く離れた流浪のさなかにも、自分が生まれた土地への、そして自分に生を与えてくれた両親への愛と感謝を表現したく思うのです。」(解説より)と 本作の主人公サランが語るようにモンゴルの遊牧の民にとって歌うことは生活の一部であり、感情そのものと言えるほど自分を表現する上で重要なものでもあり ます。
●本作はそんなサランにとっての歌を、伝統楽器である馬頭琴の第一人者バツァイハンをはじめとしたウランバートル国立オペラの演奏をバックに録音したアルバムです。
● サランが幼少の頃から親しんできた伝統歌謡や、彼女の祖母の歌、彼女自身が作った歌など、どれもオーソドックスなアレンジで収録されていて、まるで聴いて いる私たちも広大な草原に立って雌牛や羊を眺めていたり、ゲルの中で自然に始まった宴に参加しているような感覚にすらなってきます。サランの故国への慈愛 と強い思いのこもった歌声が、美しく素朴な音の流れに乗って時に漂うように優しく、時にはっとさせられるほど力強く響き、国境を越えて私たち日本人の琴線 にも触れ、郷愁をも感じさせてくれる作品になっています。〜粕谷祐巳先生解説!
(以上メーカーインフォより)