RACHID TAHA / BONJOUR

taha09これまでほとんどの作を手掛けてきた盟友スティーヴ・ヒレッジの元を離れ、新しいプロデューサー=ガエタン・ルッセール(ex ルイーズ・アタック)&マルク・プレッチ(exリタ・ミツコ)というロック人脈と組んだ本作、しかもタハ初となるNY録音ということで、その出来映え~まずヴォーカル・スタイルが変わりましたね、というか、初期のバンド時代(カルト・ドゥ・セジュール)に戻った感じ?そして音作りは、例えばマヌ・チャオ・プロデュースのアマドゥ&マリアムにも似た感触?というわけで、これはかなりの変身ぶり。マグレブ風味はやや後退、ポスト・パンクのヴァリエテ感覚濃厚に、いちパリジャン中年オルタナティヴ・ロッカー色が前に出た作、ということになるでしょうか。とはいえ、マンドーラを弾き語るアルジェリアっぽい曲もありますが、でも、その辺がアルバム全体において隠し味的に響くところが今までと違います。というわけで、前作と変わらないタハを期待している向きには、ちょっと戸惑いを感じさせる新作でしょうが、これはこれで実にタハらしい作かと…、~つまり、フランスで育ったブールとして、いつも二つのアイデンティティの間で揺れ動いているタハらしさ、ということですが、その上のアメリカ録音、それでもって表題曲は北米カントリー調も漂う“ボンジュール”!ですから、いやー、なかなか込み入った人間性というか音楽性、実にタハらしいわけです。

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