川沿い音楽のコンテンポラリー・フォルクローレを基盤にジャズ・フュージョンから、サルサ、キューバ音楽まで、楽器で言えば唄、ギターにベースにトロンボーンまでこなすマルチな音楽家、パブロ・ヒメネスの傑作発掘盤を。舞踏家でもあるセシ・エリアスが詩作とacc、アカ・セカ関連ではアンドレス・ベエウサエルトとフアン・パブロ・ディ・レオーネ(flute)、そしてダニエル・マサ(b) ら大勢のゲスト・ミュージシャンが参加し、パブロ・ヒメネスのコンポージングの粋を集めた、完成された一枚。
* 間もなく来日の予定されるギジェルモ・リソット(g)とデュオ作を発表しているフルート奏者のパブロ・ヒメネスとは同姓同名の別人です。
’92年チャンゴ・ファリアス・ゴメスのベース奏者を足掛かりに、トロンボーンまで習得し、ヨーロッパのツアー経験や名だたるシンガーたちのサイドマンとしての経験も豊富なブエノス・アイレスの音楽家パブロ・ヒメネス。冒頭の”Harina”からして、瑞々しいアコーディオンの音色と鉄線ギターの豊潤な音色、そして自身の抑制の利いたソフトな唄い口。川沿い音楽のエッセンスを凝縮した完璧なプロデュース・ワークは圧巻で、ダンサー・舞踏家としても活躍するセシ・エリアスの詩作やアコーディオンが本作に叙情性、センシビリティをもたらしています。ダニエル・マサのフレットレスb が爽やかな風の中を縦横無尽に駆け巡るm-2 “El chico de la llamada”、フォルクローレというところではカルナバリートのリズムにビクトル・カリオンのケーナの多重録音で、洗練と情緒をみせるm-5″Se lo lleva el viento”もあり、かと思えばリサンドロ・ペフコビッチのvlnが入ったホワイト・ブルース、AORテイストのm-7″Hecho de carton”、パブロのトロンボーンとフアン・パブロ・ディ・レオーネのフルートの多重録音でキューバ音楽の灼けつく陽射しの風景を描き出したm-8″Mi canoa”、ムルガに載せてアンドレ・ベエウサエルトがつま弾くジャズ・モードのep m-10″Contaba el aire”と彩りは多岐に渡りますが、パンパの自然環境を感じさせるような広がり行く構成音と澄んだ旋律、親密な間柄で交わされるような言葉が柔らかな風に運ばれる、そんな景色が見えてきます。(インポーター資料から)